米国の映画業界はクリスマスシーズンが始まる一方で、賞レースが本格化してきた。そのなかで日本の長編アニメ映画『未来のミライ』の活躍が続いている。先頃はゴールデングローブ賞最優秀アニメーション賞、アニー賞最優秀長編アニメーション賞(インディペンデント)・脚本賞のノミネートが話題になっている。
2018年12月21日には、フロリダ映画批評協会が選んだ最優秀アニメーション映画賞に『未来のミライ』が輝いた。本作が北米で最優秀賞に選ばれるのは、これが初だ。また海外での受賞はスペインのシッチェス国際映画祭の最優秀長編アニメーション賞に続くものとなる。
フロリダ映画批評家協会は次点として『スパイダーマン:スパイダーバース』を挙げている。同作はロサンジェルス映画批評家協会、ニューヨーク映画批評家協会で最優秀長編アニメーション賞を受賞、2018年の台風の目となっている。『スパイダーマン:スパイダーバース』を抑えて受賞は意味が大きい。
このほかにも『未来のミライ』は米国の多くのアワードでノミネートに名前が挙がった。放送映画批評家協会、サンフランシスコ映画批評家協会、シアトル映画批評家協会、ワシントンDC映画批評家協会、ヒューストン映画批評家協会、ロサンゼルス・オンライン映画批評家協会賞、サテライト賞ほか10以上で、長編アニメーション部門の候補作になっている。
今後発表される米国アカデミー賞でもノミネートを期待するのに十分だ。2018年を代表する日本アニメ、そして北米公開されたアニメーション映画全体でもベストに入る作品と評価を受けたと言っていいだろう。
フロリダで大きな賞に輝いたが、今後のさらなる競争はやはりハリウッドだけに難関は多い。2018年の長編アニメーション映画の賞レースは依然、混とんとしているからだ。
当初はその知名度と評価の高さから最有力とされていた『インクレディブル・ファミリー』が思ったほどの強さを発揮していない。一方でアメコミヒーローもの、テレビアニメに多い2Dスタイルと必ずしも賞レースにアピールするタイプの作品ではなかった『スパイダーマン:スパイダーバース』が数多くのアワードを受賞、一歩抜けたかたちだ。それをウェス・アンダーソン監督の『犬ヶ島』、『インクレディブル・ファミリー』が追っている。