国内エンタテイメント大手のバンダイナムコグループが、中国市場開拓にアクセルを踏んでいる。2018年12月19日、バンダイナムコホールディングスは、中国に新たにふたつの事業子会社を設立すると発表した。
ひとつは2019年2月に設立を予定するバンダイナムコ・トイ&ホビー(BANDAI NAMCO Toys & Hobby (SHANGHAI):万代南夢宮(上海)玩具有限公司)。もうひとつは3月スタートのバンダイナムコ・アミューズメント(BANDAI NAMCO Amusement(SHANGHAI):万代南夢宮(上海)遊楽有限公司)だ。いずれも本社は上海に置かれる。
資本金は各3000万元で、日本のバンダイナムコホールディングスが100%出資するバンダイナムコホールディングス・チャイナの完全子会社になる。
トイ&ホビーは中国国内における玩具・プラモデルの販売を担当。アミューズメントは同国でのアミューズメント施設の企画・運営を手がける。
バンダイナムコホールディングスは中国では「機動戦士ガンダム」シリーズなど日本の作品・キャラクターの人気が高く、さらに現地作品も豊富だとする。日本と中国双方の作品で商品・サービス展開で事業拡大を目指す。
とりわけガンダム関連の展開は有望そうだ。玩具事業のバンダイは近年アジア向けの「ガンプラ」輸出が好調である。作品の人気の高い中国は、その市場開拓の余地が大きい。
バンダイナムコホールディングス・チャイナでは、すでにスマホアプリ事業子会社のバンダイナムコ・エンタテイメント(上海)BANDAI NAMCO Entertainment(SHANGHAI)がある。これに新設2子会社が加わる。中国の持株会社と3つの主要子会社から構成する体制になる。
バンダイナムコグループは国内では、「玩具」「ネットワーク(ゲーム)」「アミューズメント」「映像(アニメ)・音楽」「IP(アニメ・キャラクター)」の主要5分野で事業展開している。中国の3社はトイ&ホビーが「玩具」、エンタテイメントが「ネットワーク(ゲーム)」、それに「アミューズメント」と、それぞれが国内の事業と対応している。
一方で「映像音楽」と「IP(アニメ・キャラクター)」は、現時点で中国子会社の予定がない。しかしバンダイナムコでは、今後本格展開に向けた組織体制の検討を行うとしている。近い将来にバンダイナムコアーツやサンライズに相当する中国現地法人が登場する可能性もありそうだ。
バンダイナムコグループは近年、売上げと利益を大きく伸ばしている。その原動力のひとつが海外である。
またエンタテイメント市場の成長率が低い日本だけではさらなる成長は覚束ない。そこで成長著しい中国に目を向ける。国内の巨人は海外でお巨人になれるのか。バンダイナムコの積極的な中国進出が注目される。