イマジカG映像事業は通期赤字、増収も製作委員会出資で評価損計上

ファイナンス決算

 映像関連事業のイマジカグループは、6月12日に2020年3月期通期連結決算を発表した。売上高は940億9000万円と前年比で4%の微増。営業利益は13億5100万円(45.9%増)、経常利益は4億1600万円(47.2%減)、当期純利益は6億6400万円と前年の20億1000万円の赤字から浮上した。
 映像機器に関わる映像システム関連は好調で増収増益であったが、映像コンテンツ事業、映像制作サービス事業で利益を落とした。またメディア・ローカリゼーション事業も利益での赤字幅を圧縮したものの、マイナスからは抜け出せなかった。

 映像コンテンツ事業は、実写映画・ドラマのロボット、アニメのOLM、それに映像クリエイティブのP.I.C.S.が主要企業だ。期間中の売上高は262億500万円と11.8%増、実写とアニメの双方で劇場映画制作規模が拡大した。下期にテレビアニメシリーズの制作数が減少したが、テレビCMや音楽ライブ収録もあり好調だった。
 一方で、劇場映画などの製作出資で評価損が発生、営業損失を計上した。これにより利益面では3億5900万円の赤字に転落した。

 映像制作サービス事業は映像・音声編集やポストプロダクション、デジタルシネマサービスなどから構成される。売上高は265億5700万円(3.5%減)、営業利益は4億3100万円(36.3%減)の現出減益だ。
 映画とアニメに向けたポストプロダクションサービスは堅調だったが、年明け以降の新型コロナウイルス感染拡大が打撃だった。スポーツなどのイベント中止や延期が増え、撮影サービス・アーカイブサービスの受注減少が減少した。人材サービス部門も減収減益だった。

 メディア・ローカライゼーション事業は売上高226億6000万円(9.1%減)、また営業損失が7億6800万円である。売上高の減少はヨーロッパでのテレビ番組向けローカライズが不調だったことと、連結子会社2社の売却によるものだ。一方で制作体制の見直しや固定費削減の効果は出ており、赤字幅は縮小傾向が続いている。
 映像システム事業は売上高205億5100万円(28.9%増)、営業利益は27億1400万円(43.1%増)だ。放送局向けの大型案件が増えたほか、CMオンライン送稿システム、ハイスピードカメラ新製品の販売が好調だった。

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