中国の老舗アニメスタジオ復活、上海美術映画製作所の話題作「中国奇譚」が日本上陸

中国奇譚

 中国で大きな話題を呼んだ配信アニメーションシリーズ『中国奇譚』の日本上陸が決定した。配給会社の面白映画は全8話構成の本作の中から「ワンと神様はバスに乗って行った」「妖怪くんの夏」「売店」「リンリン」の4話をピックアップ。新たに再編集して、2025年7月4日より東京・大阪・名古屋・横浜・福岡の5都市で限定上映することを明らかにした。
 『中国奇譚』は中華伝統文化に根ざした物語を、現代ならではのクリエイティブと美術スタイルを融合させた怪異譚だ。中国では2023年に国内配信されるとたちまち大きな反響を呼び、公式配信だけで累計再生回数は3億4000万回を超える視聴がされた。本作が劇場スクリーンで上映されるのは、日本が世界初になる。

 上映は面白映画が定期的に開催する中華映画特集上映イベント「電影祭」の一環だ。「電影祭」は日本未公開の中国の実写、アニメーション映画を積極的に紹介してきた。これまでも話題の中国アニメーションが多く取り上げられてきたが、今回は『中国奇譚』が目玉になる。

 もうひとつ『中国奇譚』が注目されるのは、本作をプロデュースする上海美術映画製作所の存在だ。上海美術映画製作所は1957年に設立された中国で最も古いアニメーション制作会社のひとつだ。設立に日本人の持永只仁が関わったことで、日本でも知られる。
 水墨画アニメーションで名を馳せて1950年代から70年代にかけて、『大暴れ孫悟空』、『おたまじゃくしがお母さんを探す』、『ナーザの大暴れ』 といった作品を多く制作した。そのクオリティは世界を驚かせた。
 しかし近年はCGを駆使した大作劇場作品やアクション満載の配信シリーズの盛況で影が薄くなりがちであった。そんな中で『中国奇譚』で、老舗の存在感を見せつけたかたちだ。上海美術映画製作所がプロデュースするだけに、配信向けエンタテイメントシリーズとは一線を画した凝った表現とスタイルも特徴である。それは現在の中国アニメーションの多様さをも示している。

中華映画特集上映「電影祭」2025
https://www.chuka-eiga.com/den_ei_sai/

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