東映アニメーションが、中国、香港、そして米国を巻き込んだ大がかりなCGアニメーション映画に乗り出す。2018年10月24日、東京・池袋で開催中の国際コンテンツ見本市Japan Content Showcase 2018で開催された記者会見で国際共同製作の大型プロジェクトが発表された。
東映アニメは中国の大手映画会社Bona Film groupのA REALLY GOOD FILM COMPANY LIMITEDと協力して、『西遊記』をモチーフとした『The Monkey Prince(仮)』を製作する。また本作はすでに、日中合作映画の認定を受けている。完成後の中国公開では、有利な立場を得ることになりそうだ。
中国のパートナーBona Film groupは、映画製作・配給の大手。特に配給で大きなシェアを持つ。2017年春には、『聖闘士星矢』の実写版劇場映画プロジェクトでも東映アニメーションと共同制作すると報道されている。
そうしたつながりが今回のプロジェクトを実現したとみられる。『The Monkey Prince(仮)』のターゲットは、世界中のファミリーになる。世界で馴染み深い『西遊記』とそのキャラクターが、どれだけ訴求力を発揮するかが鍵になりそうだ。
プロジェクトには、ほかにも国内の有力企業や制作会社が参加する。セガサミーグループからサミーとCGアニメーション制作のマーザ・アニメーションプラネット、またCGアニメーションで多くの実績を残すSOLA ENTETAINMENTだ。東映アニメとマーザ、SORAは、海外でヒットしたCG映画『キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』でもチームを組んでいる。その際の経験が今回も活かされそうだ。
また映像制作にあたっては、東映アニメとSOLAのほか、THNH ANIMATION MAGICが参加する。THNH ANIMATION MAGICは2017年10月に東映アニメ、SOLA、ギャラクシーグラフィッスの出資により設立されたばかり。ギャラクシーグラフィックスにはサミー、東映アニメのほか、サンジゲンも出資する。本作には国内の多くのCGスタジオが関わってくる。
さらクリエイティブ陣が、国際色がたっぷりとなる。ストーリーとキャラクター原案は『ソニック・ザ・ヘジホッグ』の大島直人が手がける。監督は米国のCGアニメーション『アントブリー』も撮ったジョン・A・デイビス、『シュレック 2』『スマーフ』のJ・デビッド ・ステムとデビッド ・N・ワイス、キャラクターデザインとアソシエト・ディレクターにハリウッドで活躍する野口孝雄といった布陣だ。
日本からはマーザのプロデューサーであるチャック・ウィリアムズも企画開発から参加する。日本のアニメーション映画がグローバル規模で展開できるのか、今後を占う大型プロジェクトになりそうだ。