東映アニメが中国テンセントと共同製作、現地向け「花の子ルンルン」受け継ぐ新作アニメ

花仙子之魔法香対論

 国内最大手のアニメ制作会社東映アニメーションが、中国現地法人を通じて中国向けの新作アニメの製作に乗り出した。製作にあたっては、中国の大手IT・エンタメ企業テンセントと手を組む。
 2023年8月8日に上海で開催された「Tencent Video Animation Festival 2023」で製作発表されたのは、中国語のタイトルで『花仙子之魔法香対論』。1970年代、80年代の世界で人気を博した『花の子ルンルン』からインスパイアされた作品となる。

 製作は東映アニメーションの中国現地法人の東映動漫(上海)とテンセントグループの映像配信プラットフォームのテンセント・ビデオ(Tencent Video)になる。
 東映動漫(上海)は2020年に、中国に根差したコンテンツ開発を目的に、東映アニメーショングループが80%、中国の上海東今企業管理諮詢有限公司が20%の出資で設立された。『花仙子之魔法香対論』は、そのラインナップのひとつになる。
 またテンセント・ビデオは中国の巨大IT企業の動画配部門で、この分野ではトップ3の一角を占める。独自番組、コンテンツの製作にも積極的だ。

 『花仙子之魔法香対論』のタイトルに含まれる「花仙子」は、東映アニメーションが1979年に製作し放送されたテレビシリーズ『花の子ルンルン』の中国語タイトルにあたる。『花の子ルンルン』はかつて、中国でも人気を博した。
 本作はこれを受けて、『花の子ルンルン』の思い出と背景を受け継ぎつつ、現代のトレンドを取り入れ、新しい花の精の物語になるという。昔のファンには『花の子ルンルン』のイメージで、新しい世代にはかつて支持された花の精というモチーフでアピールする。
 東映アニメーションと東映動漫(上海)は、今後も積極的にアジア市場を目指す。中国やアジアの慣習や文化に臨機応変に対応した、現地に根差した作品を企画・製作・販売をする。日本から輸出するのでなく、現地に合わせた作品をいちから作るという日本のアニメビジネスの新しいグローバル化の潮流も感じさせる。
 まだまだ挑戦の段階ではある。だから新しいビジネスが生まれるかに、『花仙子之魔法香対論』も試金石になるに違いない。

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