バンダイナムコピクチャーズが大阪スタジオ開設 デジタル作画全面導入を目指す

アニメーター

 バンダイナムコグループのアニメーション制作会社バンダイナムコピクチャーズが、大阪に新たなスタジオを立ちあげた。2018年8月27日付で、大阪市淀川区に大阪スタジオを設立した。
 大阪スタジオは、バンダイナムコピクチャーズが制作するアニメの作画を担当する。作画にあたっては、紙と鉛筆の替わりに、タッチペンとタブレットで絵を描くデジタル作画を導入する。新時代の作画システムを構築する。

 バンダイナムコピクチャーズは、2015年に老舗のアニメ会社サンライズから商品化を中心に展開する作品部門を分社化して設立された。サンライズの子会社にあたる。主要作品に『アイカツ』、『TIGER&BUNNY』、『銀魂』、『バトルスピリット』などがある。
 アニメ業界は現在、アニメーション制作の急激な増加のため、慢性的に制作スタッフが不足している。バンダイナムコピクチャーズは巨大企業グループの一員だが、それでもこうした状況と無縁でないと思われる。今後の作画体制の強化を見通して、新スタジオに踏み切ったとみていいだろう。

 新スタジオの特長のひとつは、首都圏以外での拠点になることだ。長い間、アニメーション制作のスタジオは東京圏に集中していた。アニメーターの描いた原画・動画をいち早く運ぶのに、スタジオ同士の距離が近いほうが便利なためだ。
 しかし、切迫した人材不足から首都圏ではほとんどのアニメーターはフル回転となっている。そこで近年は新たな人材を求めて、東京以外の中核都市、京都や福岡、あるいは地方にスタジオを設立する動きが強まっている。ライデンフィルムの京都スタジオ、トリガーの福岡スタジオ、ufotableの徳島スタジオなどである。バンダイナムコピクチャーズの大阪スタジオも、そうした動きのひとつとなる。

 こうした地方スタジオを可能にするのが、デジタル作画である。紙でなくデジタルデータとして描くデジタル作画は、動画や原画をネット上で瞬時に遠方の送ることが出来る。これまでのように、地理的に近くにある必要はない。
 大阪スタジオではレイアウトから動画までデジタルで一貫した制作を築き、東京本社・スタジオとのスムーズなやりとりを目指す。デジタル作画の導入にあたっては、福島県いわき市に拠点を持ち、デジタル作画の経験が豊かなスタジオダブの全面協力を得る。またスタジオには作画スタッフのほか、制作進行担当者も常駐する。
 大阪スタジオのシステムがうまく回れば、バンダイナムコピクチャーズにとって大きな戦力になるだろう。しかし、プロジェクトの先にはさらに大きな目標がある。大阪だけでなく、さらに国内各都市、海外にも同様のスタジオ開設を目指している。場所に捉われず世界中をネットワーク化したアニメーション制作の構築という未来が広がる。

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