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Netflix×アニプレックス 湯浅政明監督で「デビルマン」再アニメ化
- 2017/3/16
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映像配信サービスによるオリジナル作品が、日本でも大きな関心を集め始めている。そうしたなかでアニメ業界でも注目の2社が手を組んだ大型企画が飛び出した。
アニメ映像ソフトメーカー大手のアニプレックスと、世界最大の定額映像配信プラットフォームのNetflixが協力して、永井豪の傑作SFマンガ『デビルマン』を映像化する。『DEVILMAN crybaby』とタイトルし、2018年初春にNetflixが全世界独占配信する。
ビッグタイトルとアニプレック、Netflixの名前だけでも驚きだが、新しいアニメ制作を担当するスタッフにも大物の起用となった。
監督は『マインド・ゲーム』『四畳半神話大系』と二度にわたり文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞に輝いた鬼才・湯浅政明。アニメーション制作は、湯浅監督が自身の制作拠点として設立したサイエンスSARUである。脚本は『コードギアス 反逆のルルーシュ』や『ベルセルク 黄金時代篇』の大河内一楼、音楽は電子音楽を駆使した活動で高い評価を受ける牛尾憲輔となった。アニメファンを超えた広い層にアピールする作品になりそうだ。
原作となる『デビルマン』は、1972年から永井豪が約1年間にわたり「週刊少年マガジン」で連載された。同時期に最初のアニメ化もされている。先住人類デーモンと人間、デビルマン、さらに神を巻き込んだ壮大ストーリーが人気を博した。
これまでも映像化は数多く、なかでも1972年の東映動画(現・東映アニメーション)によるテレビシリーズ、1987年、90年のオープロダクションによるOVAは傑作として知られる。今回はこうした過去の名作にも挑む。原作が持つニュアンスを最大限活かし現代版として、さらに原作のラストまで描くとする本作が大きな話題を呼ぶのは間違いない。
ビジネス面では、やはりNetflixの動向が注目される。2015年秋の日本進出以来、独自のアニメコンテンツが少なかった同社が、ここにきて次々にタイトルを発表している。
先頃はポリゴン・ピクチュアズのアニメーション制作による劇場アニメ『ゴジラ』の全世界配信を発表したばかりである。こちらは大手映画会社の東宝とのビジネスだ。また『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』も独占配信のオリジナルタイトル、こちらのビジネスパートナーはプロダクション I.Gである。
ここから見えてくるのは、国内のアニメビジネスの有力プレイヤーと広くビジネスに取り組んでいることである。また、「デビルマン」「ゴジラ」「サイボーグ009」と、SF色の強い作品で、かつすでに高い知名度を獲得している作品、キャラクターに重点を置いていることも分かる。
現時点では日本国内での有料会員の伸び悩みが指摘されるNetflixの契約拡大の切り札ともなりそうだ。オリジナルコンテンツの開発を進めるAmazonやHuluとの競争も激化しそうだ。
同時に海外マーケットへのインパクトも見逃せない。『デビルマン』や『ゴジラ』の海外での高い知名度も、企画決定の鍵となったことは間違いない。Netflixは、『デビルマン』を世界190ヵ国に独占配信するだけでなく、日本語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語(ブラジル)、スペイン語(標準)、スペイン語(カスティリア)、ポーランド語、トルコ語の9言語で吹替え、25ヶ国語で字幕をつける。とりわけ南ヨーロッパに重点を置いていることから、『デビルマン』が同地域でもキラータイトルとされていることが判る。
近年、日本アニメの海外展開においては、従来のテレビ放送やDVD・Blu-rayといった映像ソフトに替り、配信によるアプローチが増している。今回のようなビッグタイトルが、日本アニメ海外人気をさらに拡大するのか、それによる日本の制作サイドの影響はどうなるのかも、今後注目される。
『DEVILMAN crybaby』
http://devilman-crybaby.com/
[スタッフ]
原作: 永井豪「デビルマン」
監督: 湯浅政明
脚本: 大河内一楼
音楽: 牛尾憲輔
アニメーション制作: サイエンスSARU
プロデュース: アニプレックス/ダイナミック企画
協力(In Association with): Netflix
エグゼクティブプロデューサー: 岩上敦宏、永井隆、上木則安
プロデューサー: 新宅洋平、永井一巨
アニメーションプロデューサー: チェ・ウニョン