アニメ「Dies irae」全6話、新エピソードを配信タイトルに AbemaTVから先行スタート

『Dies irae』

 2017年10月から12月まで全11話で放送されたテレビアニメ『Dies irae』の新エピソード全6話が、動画配信でファンに届けられる。その配信メディアとリリース時期がこのほど発表された。
 プレミアリリースはAbemaTVで、2018年7月1日17時30分からテレビシリーズ総集編「Marie’s Memory『未知に通ず軌跡』」と第12話から第17話までの「To the Ring Reincarnation」を一挙独占先行配信する。視聴無料とテレビ番組のような編成を特長に急激にユーザー増やすAbemaTVの、目玉タイトルとなる。

 7月6日以降に、dアニメストア、Amazonプライム・ビデオ、DMM.com、U-NEXT、アニメ放題、 ニコニコ動画などでも配信する。テレビ放送は現時点で発表されておらず、『Dies irae』は変則型の配信オリジナルアニメと言ってよさそうだ。
 独占先行配信をするAbemaTVは日本の動画配信会社の中でもとりわけオリジナル番組の投資に積極的だ。アニメについてもその動向が注目されているが、これまではテレビシリーズの独占先行配信にとどまっている。今回の『Dies irae』の試みが、今後AbemaTVのオリジナル作品につながるのかも注目されるところである。

 『Dies irae』は2007年に発表されたPCゲーム「Dies irae」シリーズを、原作としている。凝った世界設定やキャラクターたちがカルト的な人気を誇っている。
 アニメ化のきっかけは、2015年に実施したクラウドファンディング。当時、クラウドファンディングの調達資金で国内最高の9656万円集め、これが当初の企画を超える全18話というアニメシリーズにつながった。 企画の成立のユニークさに加えて、作品展開も異色になった。製作当初より、およそ1クール(3ヵ月)分をテレビ放送し、それに続く半クール分(6話)が動画配信スタートと変則的なかたちとなることが発表されている。いま注目の高い配信をビジネスモデルの積極的に取りこむ。

 テレビ放送も活用しながら、テレビ以外のメディアもファーストウィンドウとして活用する例は、『Dies irae』だけに限らない。2018年4月よりテレビ放送をスタートした『銀河英雄伝説 Die Neue These』もそのひとつである。全12話をテレビ放送した後にセカンドシーズンを3章に分けて劇場上映するとしている。
 近年、動画配信の急激な広がりや、劇場映画のイベント上映が普及することで、これまで深夜アニメとなることの多かったコアファン向け作品が、配信や劇場上映をファーストウィンドウに選ぶケースが増えている。
 しかし配信オリジナルや劇場上映は、テレビアニメと比べてプロモーションが弱くなりがちだ。このため配信オリジナルや劇場作品は長年の人気タイトル、強いブランドが有利になる。
 『Dies irae』や『銀河英雄伝説 Die Neue These』は、テレビ放送で人気を加速した後に配信や劇場のウィンドウを移行する仕組みとなる。『Dies irae』の試みは、複雑化する現在のアニメビジネスを象徴しているのかもしれない。

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