大日本印刷、文教堂グループ株式の一部を日販に売却、非連結子会社に

ファイナンス決算

大日本印刷は9月12日、同社が保有する文教堂グループホールディングスの株式の一部を出版取次販売の日本出版販売(日販)に譲渡することを明らかにした。大日本印刷の現在の持株比率は35.78%、このうち12.05%相当を譲渡する。同時に大日本印刷のグループ子会社である丸善ジュンク堂書店も文教堂グループの全保有株式を日販に譲渡する。いずれも譲渡価格は明らかにしていない。9月12日に譲渡契約を締結、10月31日に実行する予定だ。
今回の取引により、大日本印刷グループの文教堂グループに対する持株比率は、51.86%から23.74%に下がる。代わって日販が28.1%で筆頭株主となる。文教堂グループは大日本印刷の連結子会社から持分法適用会社に変更される。

大日本印刷は株式譲渡の理由として、これまでネット、電子書籍分野で文教堂グループと協業を進めてきたが、文教堂は日販と関係強化することがより効果的であると判断したと説明する。株式譲渡後も、協業関係は続ける予定だ。
文教堂グループは1898年に創業の老舗書籍販売店チェーンで、全国にある店舗は約200店と国内最大級を誇る。近年は、アニメ・マンガ関連書籍やグッズ、イベントに特化したアニメガの運営でアニメファンにもお馴染みになっている。
売上高は年間300億円台半ばと安定しているものの、近年は業績悪化に苦しんでいた。前期は最終5億5300万円の純損失、前々期、さらにその前の期はそれぞれ8億3100万円、2億8900万円と3期連続赤字となっていた。2009年にジュンク堂書店が(現・丸善ジュンク堂書店)、2010年に大日本印刷が第三者割当増資で出資をしていた。

大日本印刷は、国内最大、世界でも有数の出版印刷企業として知られている。2000年代半ばより出版の総合商社を目指しM&Aを繰り返してきた。丸善、図書館流通センター、ジュンク堂書店、雄松堂書店などの買収をしており、文教堂もそのひとつであった。しかし、大日本印刷は都心の大型店を中心とした丸善ジュンク堂書店のおよそ90店舗あまりの書店チェーンがあり、利益をだしている。今後は書店運営では、丸善ジュンク堂書店にフォーカスすることになる。
一方、日本出版販売は、出版取次販売の国内最大手として出版業界に大きな影響力を持っている。今回の文教堂グループの買収で、取次販売に加えて、店舗販売でも大きな存在となる。日販は現在も複数の書店運営の企業を傘下に抱えている。なかでも2003年にパルコから買収したリブロは、全国に60以上の店舗網を持つ有力書籍チェーンである。これに文教堂が加わることで、その存在感はさらに増しそうだ。文教堂グループの大株主には、日販の競合企業であるトーハン(持株比率3.59%、株主第4位)もあり、同社との関係も今後関心を呼びそうだ。

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