2020年8月4日にソニーが発表した2021年3月期第1四半期決算によると、ソニーミュージックを中心とした音楽事業の期間中の売上高は1771億1500万円(12.4%減)、営業利益は348億9200万円(8.8%減)の減収減益だった。新型コロナ感染症の世界的な拡大が影響した。
期間中に楽曲レコーディングや音楽ビデオの制作に新型コロナの影響があり、新曲のリリースが遅れたことが響いた。国内では外出制限の影響で、CD などのパッケージメディアの販売も減少した。コンサートなどのイベント延期・中止、それに伴う物販の制作・販売も減少している。さらに広告縮小が広告型ストリーミングサービスから収入減少、テレビCMの楽曲使用料も減少した。
音楽事業のなかで近年、注目されているのが、映像メディア・プラットフォーム部門である。ソニーグループの中には映画・テレビ事業のソニー・ピクチャーズとゲーム事業のソニー・インタラクティブエンタテインメントが存在するが、ソニーミュージックではグループ会社のアニプレックスを中心にアニメ・ゲーム・映画事業を手がける。近年、スマホアプリゲームとアニメの両ビジネスの拡大で売上高と利益を急拡大させている。
その事業業績を反映するのが、映像メディア・プラットフォーム部門になる。2020年3月期には、この売上高は2139億6100万円あった。
2021年第1四半期では売上高は445億5300万円、前年同期では8.6%減になった。映像メディア・プラットフォーム部門も新型コロナの影響が大きい。パッケージメディアの生産が減少したほか、ライブイベントの延期・中止も大きかった。
一方で、新作スマホゲームアプリの「ディズニー ツイステッドワンダーランド」は好調なスタートを切った。映像メディア・プラットフォーム部門におけるモバイルゲームの比重は大きく、第1四半期の売上高は259億2000万円と全体の6割弱を構成する。
またアニプレックス関連では、同社の子会社であったフランスのワカニム(Wakanim)とオーストラリアのマッドマン(Madman)が2020年2月にソニー・ピクチャーズグループのファニメーション傘下に移動した。今回の決算からは両社事業は映像メディア・プラットフォーム部門から除外されたとみられる。また両社の事業移管に伴いアニプレックスはファニメーションの株式の20%を取得している。