バンダイナムコフィルムワークスが、アニメーション制作中堅のエイトビットを子会社化する。2024年3月1日、両社が発表した。バンダイナムコフィルムワークスは、4月1日付でエイトビットの全株式を取得し完全子会社とする。
両社はすでに2020年6月に業務提携を締結しており、今回の資本参加で関係をさらに発展させる。現代表取締役社長の須山博一氏が、引き続きエイトビットの経営の指揮を執る。取締役にはバンダイナムコフィルムワークス取締役副社長の河野聡氏、仲吉治人氏、近藤文吾氏らが就任する。
バンダイナムコフィルムワークスの子会社となることで、両社の連携はさらに密になりそうだ。エイトビットは得意とする映像制作のクオリティにバンダイナムコフィルムワークスの営業戦略を組み合わせるとしている。バンダイナムコフィルムワークスのノウハウやネットワークを活用する。
エイトビットは2008年にアニメーション制作会社として設立、2011年の『IS〈インフィニット・ストラトス〉』で元請制作を開始、『ヤマノススメ』、『Rewrite』、『転生したらスライムだった件』、『ブルーロック』などのヒット作がある。
2020年にバンダイナムコアーツと業務提携を開始し、その後はバンダイナムコフィルムワークスと提携してきた。現在も人気シリーズの『転生したらスライムだった件』第3期、『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』などの制作を抱える。
バンダイナムコフィルムワークスにとっては、エイトビットが持つ安定した制作ラインの活用が期待出来るのがメリットだ。現在アニメ業界では、作品制作のニーズが高まるなかでアニメーション制作をするラインと呼ばれる現場が不足している。企業によっては、これにより成長が阻まれることも起きている。このため大手アニメ関連企業の中では、アニメーション制作会社をグループ化する動きが強まっている。
バンダイナムコフィルムワークスでも旧サンライズが2015年に制作事業を分割してバンダイナムコピクチャーズを設立、2019年に旧ジーベックの制作事業を継承(24年にバンダイナムコフィルムワークスに経営統合)、旧バンダイビジュアルが2017年にアクタスを子会社化している。エイトビットのグループ化はこれに続くもので、同社は5つのスタジオの制作ラインを統合したかたちだ。
バンダイナムコフィルムワークスは、このほかにCGアニメーションスタジオのサブリメイションとアニマにも資本提携している。日本アニメの一大制作拠点と言っていいだろう。アニメ産業における存在感はますます大きくなりそうだ。