NTTぷららがIGポートの第4位株主、第三者割当など 資本業務提携でスマホ向けアニメ強化

ファイナンス決算

 アニメ会社のIGポートが、NTTぷららと提携をする。2018年5月7日、IGポートは、NTTぷららとの資本業務提携を発表した。
 5月23日に第三者割当増資を通じてNTTぷららがIGポートの株式を取得、さらにIGポートの代表取締役社長で筆頭株主の石川光久氏の持株の一部も譲渡を受ける。これによりNTTぷららは、持株比率4.98%でIGポートの第4位株主になる。

 IGポートは、プロダクション I.Gやジーベック、ウィットスタジオ、シグナルエムディなどのアニメーション制作会社、マンガ出版のマッグガーデンを束ねる持株会社。プロダクション I.Gを筆頭に、アニメ業界で存在感が大きい。2018年5月期は業績が好調で、株価も高値を維持している。新たな株式発行、資金調達には絶好のタイミングだ。
 一方NTTぷららは、NTTグループの中で映像配信やインターネット接続サービスを手がける。とりわけスマホ向けの配信に強みがあり、スマホ動画配信が拡大するなかでキープレイヤーになっている。これまでもIGポートの子会社シグナルエムディと、スマートフォン向けアニメ配信「タテアニメ」用の新作アニメを共同製作してきた。

 今回の提携は、スマホ向け動画配信に対する両社の目的が一致したためと言える。IGポートにとっては、新時代の映像メディアと強力な関係が築ける。NTTぷららは、人気の高いアニメを製作するIGポートとつながりを深くすることで、激しい競争の続く配信事業での優位性を期待出来る。
 両社の発表によれば、業務提携の目的は3つ。1)スマートフォン用アニメ配信プラットフォームを活かした配信事業の拡大、2)高画質、新映像技術を活用したコンテンツの共同製作、3)企画部門での人材交流である。

 第三者割当増は12万400株、1株2344円で、IGポートはこれにより2億7500万円を調達する。調達資金のうち、1億5000万円はIGポートのプロダクション I.Gからの借入金の返済に充てる。プロダクション I.Gはこれを、IT化投資、制作基盤の構築、人材確保、コンテンツ投資に充当する予定だ。
 石川光久氏の売り出しも1株2344円、NTTぷららは第三者割当と合わせて約6億円を投資する。石川氏の持株比率は現在の21.88%から19.27%に下がるが、株主第1位は変わらない。新たな株式発行で従来株主の議決権比率も低下するが、2位、3位は電通と日本テレビがとどまる。持株比率はそれぞれ10.09%から9.85%に低下する。

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