アニメーション制作会社では国内第2位の規模を持つサンライズだが、そのビジネスのかたちが今後大きく変りそうだ。事業の中核をアニメーション制作から、IP(知的財産)創出に向けて大きく舵を切る。2月10日に大手エンタテイメント企業グループのバンダイナムコホールディングス(バンダイナムコHD)は中期計画(2018年4月~2021年3月)を発表、そのなかでIPの創出におけるサンライズの役割重視を打ち出した。
バンダイナムコHD は、2018年4月1日に組織を大幅に再編する。これまでトイホビー、ネットワークエンターテインメント、映像音楽プロデュースの3つのビジネスユニット体制であったが、ネットワークエンターテインメントユニットからリアルエンターテインメントユニットを独立、さらに映像音楽プロデュースユニットからIP クリエイションユニットを独立させる。このIP クリエイションユニットの主幹企業をサンライズが担当する。
2018年3月期通期でバンダイナムコHDの連結売上高は6300億円を予想する。このなかでサンライズの売上高は200億円に達していないとみられる。それが5つのビジネスユニットのひとつとなるのは異例と言っていいだろう。
新たな方針の背景には、新中期計画でIP戦略の強化を打ち出したことがある。売上高だけで見ればアニメーション制作とそのライセンス管理で、サンライズは決して大きくない。しかし、同社が生みだすガンダムシリーズ、ラブライブシリーズなどは、映像、音楽、ゲームソフト、アプリゲーム、玩具などに展開し、グループ各社の利益の源泉となっている。このIP創出力をさらに引き出すための新ビジネスユニットなのである。
実際にIP クリエイション部門の中期ビジョンには、「アニメ制作会社からIP プロデュース集団への進化」を掲げている。IPの創出、発信、既存ブランド力のアップを目指す。アニメーション制作はIPを生みだす機能のひとつというわけだ。
ではサンライズに今後新たに求められる役割は何なのだろうか? バンダイナムコHDは、「IPのプロデュース」だとする。サンライズはグループ間の連携、商品・サービスの連動などを担当する。IPを核に、玩具、ゲーム、映像・音楽へ展開するというわけだ。
もともとサンライズはオリジナル企画のアニメーション制作を得意としてきたから、そうした戦略は描きやすい。しかし近年は、ガンダムシリーズなどの過去の有力IPへの依存が強まっている。新作アニメのマンガ原作がついているものも少なくない。IP創出には、有力IPの展開と同時にアニメスタジオ部門をどう活性化するかも鍵になるだろう。