グループ再編でバンダイナムコフィルムワークス誕生、社名から消えるサンライズ

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 エンタテイメント大手のバンダイナムコホールディングス(バンダイナムコHD)は、2022年2月8日にIPプロデュースユニット再編後の中核2社の社名と経営陣を発表した。映像事業会社のバンダイナムコフィルムワークスと音楽・ライブ事業会社のバンダイナムコミュージックライブである。いずも22年4月1日付で、新組織と共にスタートする。
 再編は2021年10月19日にすでに発表されている。グループ内のアニメ・映像・音楽・ライブ分野の5社(サンライズ、バンダイナムコアーツ、バンダイナムコライツマーケティング、バンダイナムコクリエイティブ、サンライズミュージック)を集約・再編するものだ。 

 バンダイナムコフィルムワークスは、アニメーション制作のサンライズを存続会社に4月1日に商業号変更、バンダイナムコアーツの映像部門と動画配信のバンダイナムコライツマーケティングを吸収する。本社は東京・渋谷に置かれて、代表取締役は現サンライズ代表取締役の浅沼誠氏が就任する。バンダイナムコアーツ代表取締役の河野聡氏が取締役副社長 IP事業本部管轄となる。
 常勤取締役は他にサンライズから佐々木新氏(常務取締役 IP事業本部本部長)、正木直也氏(取締役 コーポレート本部 本部長)の2名、バンダイナムコライツマーケティングから垰義孝氏(専務取締役 マネジメント事業本部管轄)、バンダイナムコアーツから濱田健二氏(IP事業本部 副本部長)、上山公一氏(取締役 マネジメント事業本部 本部長)の2名。サンライズとバンダイナムコアーツ、バンダイナムコライツマーケティングの3社の出身者で構成される。

 サンライズは1972年に創映の制作部門・有限会社サンライズスタジオとして設立、その後1976年に株式会社日本サンライズとして事業拡大、1987年にバンダイ傘下になったのを機にサンライズに社名を変更した。過去およそ50年にわたり“サンライズ”の名前を掲げてきた。しかし今回の再編・商号変更で社名から“サンライズ”の文字が消えることになる。
 
 音楽・ライブ事業会社のバンダイナムコミュージックライブは、バンダイナムコアーツを存続会社としてやはり4月1日に商業号変更してスタートする。バンダイナムコアーツの音楽部門とバンダイナムコライブクリエイティブ、サンライズミュージックが統合される。
 代表取締役社長はバンダイナムコクリエイティブ代表取締役の鈴木孝明氏が就任。取締役は5人で伍賀一統氏(現バンダイナムコライブクリエイティブ常務取締役)、尾崎雅之氏(現バンダイナムコピクチャーズ代表取締役社長)、櫻井優香氏と栗田英幸氏はバンダイナムコアーツの取締役からとなる。
 バンダイナムコアーツは2017年4月に映像会社バンダイビジュアルと音楽会社ランティスが統合されて誕生した。今回はバンダイビジュアルに相当する部分がバンダイナムコフィルムワークスに移り、バンダイナムコアーツが音楽・ライブに特化するかたちだ。

 バンダイナムコHDは今回の再編について、「映像と音楽の両面を総合的に展開できるというメリットを最大限に生かし、これまで以上につながりを強固なものにして、世界中に“いいもの”を届け続ける」と説明。同日発表された中期経営計画では、IPプロデュース部門の中期ビジョンとして「IPプロデュース集団への進化」が掲げられた。そのうえで「多面的プロデュース強化によるヒット創出加速」「多角的マネジメント力強化による作品価値最大化」「強力なユニット体制の確立」を重点戦略とする。グループのさらなる事業成長につなげるのが目標だ。

 アニメを軸にした統合的なビジネス展開で、今回の再編はソニーミュージックグループのアニプレックスを想起させる。アニメの企画・出資・制作・流通・配給・配信・ライセンスマネジメントなど川上から川下までビジネスに関わる。
 統括するビジネス領域はスマホアプリゲームも含むアニプレックスとは異なるが、アニプレックスの年間約2000億円規模の売上高に対してバンダイナムHDのIPプロデュースユニットは2022年3月期で750億円規模と引き離されている。再編を軸にどこまで事業成長を加速できるかが、今後の鍵になりそうだ。

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