大手アニメ企業のサンライズが、中国市場攻略に積極的に乗り出す。同社を代表するアニメシリーズ「ガンダム」の劇場版最新作『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』が、2019年7月12日から中国で劇場公開されることが明らかになった。
6月11日には、北京で上映決定発表会を開催する力の入れ具合だ。日本アニメの中国公開では宣伝露出が少ないことがしばしば課題となるが、作品の前宣伝も兼ねたものと見ていいだろう。
発表会には、サンライズ代表取締役社長の浅沼誠、万代南夢宮(中国)投資有限公司董事長の冷泉弘隆、さらに中国側パートナーになる中国電影股份有限公司、中国電影股份有限公司北京電影発行分公司の関係者らも登壇した。
さらに本作の監督である吉沢俊一、脚本を担当した福井晴敏、メインキャラクターのリタ・ベルナル役の声優・松浦愛弓、小形尚弘プロデューサーも姿を見せた。その場で生アフレコを披露するなどのイベントもあり、ファンコミュニケーションも繰り広げた。
中国でも人気の高い「ガンダム」シリーズだが、これまで映像作品はテレビ放送されたことはなく、劇場公開されたこともない。『機動戦士ガンダムNT』はシリーズ初の劇場公開になる。中国におけるガンダムの歴史における大きなトピックといえる。
バンダイナムコグループは日本を代表するエンタテイメント企業で、近年、急成長を続けている。そのエンジンとなっているのが海外事業である。アニメ事業のサンライズも海外展開に熱心で、今年40周年を迎えるガンダムはその主力タイトルだ。巨大市場中国の攻略で、世界展開に弾みをつけることを目指す。
一方で中国は近年、外国映画の上映制限を緩め始めている。なかでも日本アニメの劇場公開はここ数年で急増している。今年は6月までですでに10本が公開、昨年一年間の6本を早くも大きく超えた。『機動戦士ガンダムNT』公開の同日には、劇場版『「Fate/stay night [Heaven’s Feel]」 Ⅱ.lost butterfly』も公開される。
昨年は『となりのトトロ』、本年は『千と千尋の神隠し』も公開するなど、往年の人気タイトルのリバイバルも劇場で行われている。そうした意味では、今回はガンダムシリーズもあらためて中国でビジネスを立ち上げると言っていいかもしれない。