米林宏昌監督の劇場長編アニメ『メアリと魔女の花』が2018年1月18日に北米公開となり、好調なスタートを切った。国内では2017年7月に公開となり、興行収入32億円を超えた大ヒット作だ。公開初週末の興業収入は151万ドル(約1億6500万円)とランキング26位発進となった。
第2週目には累計で172万ドルを超え、ここまでで米国公開された日本の長編アニメとしては、歴代15位になる。昨年3月に公開されたヒット作『劇場版ソードアート・オンライン –オーディナル』の152万ドルを超えた。
興行収入が数百億円規模に膨れ上がることもあるハリウッドスタジオのCG大作に較べるとささやかな数字ではある。しかし限定公開の外国アニメーション映画としては、かなり順調な実績だ。
実際に本作を配給するGKIDSにとっては、2010年以来最大のヒットになる。GKIDSは世界各国の優れた長編アニメーションを継続的に北米配給することで有名だ。『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』や『ブレンダンとケルズの秘密』などを次々に米国アカデミー賞にノミネートに送り込んできたことでも知られている。
日本アニメにも熱心で、こちらもアカデミー賞にノミネートされた『思い出のマーニー』や『かぐや姫の物語』、さらに細田監督の『サマーウォーズ』、原恵一監督の『百日紅~MissHOKUSAI~』などがある。現在はスタジオジブリの全作品の北米配給権も保有する。
およそ30にもなるそうした作品のこれまでの歴代1位は、2013年公開の『コクリコ坂から』(宮崎吾朗監督)の100万ドルであった。『メアリと魔女の花』はこれを軽く超えた。
もともとGKIDSは数館の公開からスタートし、最終的に口コミで全国数十館規模に拡大する。有力新聞紙や雑誌、ウェブ、批評サイトで知名度と評価を上げるのを得意とする。
しかし、今回は当初より161館で公開、現在までに573館で上映した。GKIDSとしては異例の展開だ。
そこにはスタジオジブリで2本の長編映画ヒットさせた米林宏昌監督への高い評価が感じられる。米林宏昌監督、そしてスタジオシブリから独立したスタジオポノックを次世代の日本アニメの中心として強く意識しているとも言えそうだ。