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中国の映像配信プラットフォームの現状 NHK放送文化研究所が調査レポート
- 2016/9/4
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NHK放送文化研究所は、月刊レポート「放送研究と調査」2016年8月号にて中国における映像配信プラットフォームビジネスの現状を紹介している。『激しく競い合う「中国版Netflix」~自主制作化・課金化・モバイル化の中で~』とタイトルしてまとめた。
「放送研究と調査」2016年8月号への掲載だけでなく、16ページにも及ぶ内容はNHK放送文化研究所のサイトにて全部が無料で公開されている。国内や米国に比べて情報が少ない中国での映像配信プラットフォームビジネスの現在を知る手がかりとなっている。
レポートは、メディア研究部の山田賢一氏が調査したもので、特に大手事業者の競争状況にフォーカスしている。有力企業として楽視、湖南ラジオテレビの芒果TV、捜狐をピックアップする。さらに愛奇芸を傘下にする百度、合一(旧優酷土豆)を傘下にするアリババ、テンセントと、BATと呼ばれる中国3大IT企業の概略も紹介し、中国ITビジネスの入門テキストにもなっている。
中国と言えば、違法動画の配信と考える人も依然多いが、レポートによれば業界企業を中心に2009年より海賊版対策と正規流通化始まり、現在はそれが進展しているという。それがOTTと呼ばれるインターネットを通じたコンテンツ配信の本格化を助けている。
一方で最大手の愛奇芸が2015年に約380億円の赤字、捜狐が設立以来、赤字を続けるなど、厳しい資本投下競争と持久戦が続いていることが明らかにされている。各社ともこれまでは赤字体質から抜け出せていない。
そしたなかで新しい動きとしてオリジナル番組(自主制作)のトレンドを指摘する。これがレポートの表題にもある「中国版Netflix」につながる。オリジナル番組は番組購入費の削減になるほか、サービスの差別化、それによるビジネスの課金モデルを可能にする。レポートによれば中国の映像配信サービスの有料会員は2800万人を超える。今後、中国の映像配信は、広告モデルから課金モデルに移行する可能性があるというわけだ。
さらに日本の事業者も気になる海外コンテンツの現在や今後の対応にも触れている。映像配信プラットフォームでの中国進出は困難、管理強化が強まる中でコンテンツ事業者にも参入障壁は高いと文政している。
全般にアニメについて言及する場所はあまりない。しかし、オリジナル番組のトレンドが、昨今増えているアニメの日中共同製作や中国資本による日本制作のアニメの背景だと知ることが出来る。
アニメ業界における、中国の配信事業者による嵐のような番組買付は、現在は沈静化している。それでも依然、中国は米国と並ぶ日本アニメの大口顧客である。こうした中国の現状を知ることはビジネスでも有用であろう。
「放送研究と調査」2016年8月号
『激しく競い合う「中国版Netflix」~自主制作化・課金化・モバイル化の中で~』
(NHK放送文化研究所は、月刊レポート)
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/oversea/20160801_5.html