近年の中国の映画興業収入の急拡大のなかで、世界の映画ビジネスにおける中国の存在感が増している。グローバルでの大ヒットには、中国の動向が欠かせない。それはアニメーション映画でも同様だ。
そうしたなか2017年、一年間を通じて中国で最もヒットしたアニメーション映画は、現在も公開中の『リメンバー・ミー』となった。米国のピクサー・アニメーションスタジオ制作のCGアニメーションで、メキシコを舞台にたっぷり盛り込まれた音楽が見どころになっている。12月28日現在で興行収入は11億1000万元超、軽く190億円を超える。
ランキング2位も米国からで、イルミネーション制作の大ヒットシリーズの最新作『怪盗グルーのミニオン大脱走』。興行収入は10億3780万元である。10億元を超えたのはこの2作品だけで、以下はぐっと引き離される。
3位は地元中国のCGアニメーションのシリーズ最新作の『熊出没之奇幻空间』で、52248万元だった。中国作品ではトップである。
海外アニメーションが強いとの印象がある中国だが、政府の後押しもあって映画興業での存在感は次第に大きくなっている。ベスト10には、このほか『十万个冷笑话2』(8位1億3363万元)、『大卫贝肯之倒霉特工熊』(9位1億2636万元)、『赛尔号大电影6:圣者无敌』(10位1億329万元)などもランキグしている。
それでもやはり米国作品は人気が高い、『リメンバー・ミー』、『怪盗グルーのミニオン大脱走』のほか、4位『SING/シング』(2億1621万元)、5位『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』(1億7393万元)とトップ5のうち4作品を占めた。
一方で、北米では大ヒットであった『レゴ バットマン ザ・ムービー』は4211万元と低調だった。『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(19位4390万ドル)も伸び悩んだ。またピクサーの『カーズ・クロスロード』は、『リメンバー・ミー』、『怪盗グルーのミニオン大脱走』、『SING/シング』に大きく引き離された。北米では中規模のヒットだった『スマーフ』は好調である。全ての作品が受け入れられるわけでない、中国同時の傾向が窺える。
また中国は外国映画の上映本数に枠を設けているため、米国作品も実写映画も含めてこの限られた枠を争う。実は米国のアニメーション映画の中国公開本数は7本と決して多くない。それでもヒット作が多いのは、やはりハリウッドの底力と言える。
その米国とほぼ同じ6本のアニメーション映画を公開したのが、日本である。もっともヒットしたのは『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』(1億4890万元)で、6位にあたる。
ベスト10はこの1本のみで、ベスト20に『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(13位)、『ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』(16位)、『聲の形』(18位)。ミドルサイズのヒットが多く、米国、中国の存在感には及んでいない。
*数字は全て中国の映画興行情報の中国票房のもの。