2016年は、日本映画の中国公開が注目された年であった。それまで日本映画は年に0本~3本とほとんど公開されなかったが、一挙に11本に増え、興行収入が日本円で90億円を大きく超えた『君の名は。』が大ヒットした。
大きなムーブメントの後、2017年は16年の反動減も予想されたが、引き続き堅調を維持した。中国公開された日本映画は全部で9本、さらに日中合作の『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』が12月22日に公開され、これを含めて10本になる。2017年とほぼ同水準を維持した。
合計興行収入は『君の名は。』の大ヒットがあった前年の11億520万元には及ばないが、12月28日の時点で8億4149万元だ。この数字は『空海-KU-KAI-』が牽引しており、興行収入は28日までに3億5000万元、日本円で61億円を超えた。
アニメでは「ドラえもん」が引き続き強さを発揮している。日本公開からわずか2ヵ月あまりでのスピード公開になった『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』が1億4890万元と日本で約26億円のヒット。一方、この夏の最新作でなく、昨年夏に日本公開された『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ』のポケモンシリーズは2562万元と苦戦した。ポケモンのブランド人気を活かせなかった。
アニメ映画は全部で6作品が公開された。昨年の9作品に較べると3本の減少だ。もともと海外映画の上映枠が限られているところに、日本のアニメ映画は本数が多く、中国上映を実現するのは競争が厳しい。上記2作品以外は、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』『ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』『聲の形』『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』。
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、日本アニメ映画で興収2位だった。『君の名は。』に続く作品として公開直後が好調だったが、勢いを維持できなかった。
『ソードアート・オンライン』は、深夜アニメ発の劇場アニメとしては初の中国全国公開となった。興収5357万元(約9億3000万円)は小さくない数字である。大健闘と言っていいだろう。
実写映画は『空海-KU-KAI-』が、これまでの実写邦画の記録を大きく塗り替えた。しかし、9月1日公開の『銀魂』が大きな成功を収めている。こちらも日本公開から1ヵ月半のスピード公開、興収8136万元(約14億円)、合作以外の実写邦画の記録を大幅に更新している。
一方で、『続・深夜食堂』『君と100回目の恋』は1300万元台にとどまっている。中国市場における日本映画のアニメ優位が続いている。