台湾が「国家漫画博物館」建設 予算約43億円、2020年完成予定

国家漫画博物館

 台湾にマンガをテーマとした大型博物館が建設される。台湾中部の主要都市である台中市は、台湾政府文化部が11億5000万元(約43億円)の予算で、市内に「国家漫画博物館」を設立することで合意したと明らかにした。
 台湾文化部はすでに4.45億元のプロジェクト予算を負担してきたが、新たに施設や所蔵コレクション収集のために7.05億元を拠出する。台湾では初の漫画ミュージアムに向けて、積極的に動く。

 漫画専門の博物館建設には、台湾の漫画文化に対する危機感も背景にある。これまで漫画やその関連資料はまとまった保存がされずに、漫画の文化保存はコレクターなどによって支えられてきた。これまでに古い作品の資料が数多く失われてきた。文化部は、現在漫画と関連資料の収集を始めたが、国家漫画博物館はその保存・展示の場となる。
 台湾文化部は、漫画は台湾人の社会、生活、クリエイティブを体現しているとする。また出版だけでなく、映像文化の源として重要な文化だという。新たな博物館が台湾の漫画文化のハブとなることを期待している。国家漫画博物館は日本人にとっても、台湾のマンガ文化を知り、触れるのにも訪れる価値のある場所になりそうだ。

 台中市では現在、台湾映画センターを市内に建設中だが、国家漫画博物館はこれに併設する。台湾映画センターは地上7階建、地下3階建て、3万8274㎡の面積を予定。このうち1万297㎡が国家漫画博物館に充てられる。展示室のほか、上映スクリーンやデータ収集などが備えられる。
 台湾映画センターは、今後、映画やアニメーション、テレビ番組、漫画の振興も積極的に進める。台湾のクリエイティブやオリジナルIP(知的財産)の育成につなげる。
 
 世界的に見ても、マンガやコミック、アニメーションの総合博物館は多くない。しかし、近年は世界的に増える傾向にある。そのなかで米国サンフランススコのカートゥーン・ミュージアム、ニューヨークのコミック&カートゥーン アーツミュージアムなどが知られている。
 また東アジアでは、近年、博物館建設が活発だ。韓国・富川の韓国漫画博物館、春川のアニメーション博物館、中国の上海動漫博物館や杭州市に建設中の動漫博物館などがある。台湾も国家漫画博物館にて、これに続くことになる。

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