2019年1月14日、米国コミック流通のダイヤモンド・コミック・ディストリビューション(Diamond Comic Distributors)は、自社データに基づいた2018年のコミック(グラフィックノベル含む)のヒットタイトルと出版社別シェアを発表した。
販売額、販売数量の両方でトップに立ったのは、2017年に引き続きマーベルコミックだった。販売金額で市場の38.2%、販売数量で40.40%と、いずれも市場の約4割を占めた。第2位も前年と変わらずDCコミックで金額では30.04%、数量で33.82%。マーベルとDCで市場の約7割を占める2大出版社の寡占は変わらず健在だ。
全体売上高の実額の発表はなかったが、雑誌スタイルのコミックと単行本スタイルのグラフィックノベルの双方を合算して前年比で1.08%の微減であると明らかにしている。コミックは2.04%増、グラフィックノベルは8.22%の減少だった。グラフィックノベルの減少を、コミックで埋めきれなかった。
調査をまとめたダイヤモンド・コミックは、米国のコミック流通の大手。市場全体の約半分を売上げるコミックストアと呼ばれる専門店へのコミック・グラフィックノベル流通をほぼ独占している。
一方で一般書店やネット書店などへの流通は弱い。米国ではコミックは専門店で、グラフィックノベルは一般書店やネット書店で購入される傾向が強い。このため今回の調査もコミックに強い出版社のシェアがより大きくなり、グラフィックノベルのみで刊行する日本マンガ出版社は上位に姿を見せない。
そうしたなかで注目されるのは、長年続くマーベルとDCのマーケットにおける強さだ。いずれもスーパーヒーロー物を中心に人気を集める、特に2018年はマーベルが金額で前年の37.09%から38.2%に、DCが28.93%から30.04%へとシェアを拡大した。
マーベルは『アメージング・スパイダーマン』『ファンタスティック・フォー』『ウルヴァリン』『ヴァノム』などがベストセラーに並んだ。DCは『スーパーマン』『バットマン』が牽引した。
大手2社に次ぐイメージコミックは9.82%→9.93%。IDWとダークホースは、それぞれ5.25%→3.83%、4.04%→2.92%とシェアを落とした。
日本マンガ専門のVIZメディアは前年の1.15%から1.22%に微増、全体で8位。『僕らのヒーローアカデミア』のヒットはあったが、主力がグラフィックノベルであるためダイヤモンド・コミックではランキングが低い。また商品単価が高いため数量シェアでは0.46%とさらに下がる。
[2018年販売金額 会社別シェア]
マーベルコミックス 38.24%
DCエンターテイメント 30.04%
イメージコミックス 9.93%
IDWパブリッシング 3.83%
ダークホースコミックス 2.92%
BOOM!スタジオ 2.24%
ダイナマイトエンタテインメント 1.86%
VIZメディア 1.22%
タイタンコミックス 0.87%
オニプレス 0.83%
その他 8.01%
[2018年販売数量 会社別シェア]
マーベルコミックス 40.40%
DCエンターテイメント 33.82%
イメージコミックス 9.90%
IDWパブリッシング 3.30%
ダークホースコミックス 2.10%
BOOM!スタジオ 1.90%
ダイナマイトエンタテインメント 1.73%
タイタンコミックス 0.61%
オニプレス 0.54%
VIZメディア 0.46%
その他 8.01%