アニメ制作の下請取引で経産省が調査報告書、適正取引きのガイドライン改訂版を公開
- 2016/9/3
- 調査・レポート
経済産業省は、国内のアニメ制作取引の現状を明らかにする『平成27年度「コンテンツ産業強化対策支援事業(アニメ下請ガイドラインフォローアップ等調査事業)」調査報告書』をとりまとめた。同省のサイトにて公開中だ。
報告書は中小企業庁が業界別に公表する「下請適正取引等推進のためのガイドライン」のひとつ。2013年に策定した「アニメーション制作業界における下請適正取引等の推進のためのガイドライン」の改訂に合わせたものだ。
経済産業者では、アニメ産業の海外市場展開支援などを実施している。一方で制作の現場では取引の書面交付されていないケースもあり、アニメーターの就労環境が改善されていないことから、アニメ産業に絞ったガイドラインを制作している。
調査報告書は、制作現場の現状に沿ったものとするため、アニメ制作会社やアニメーター、演出、美術などのスタッフに対するアンケート、ビアリングを行った。特に制作の際の発注者と受注者の現状が詳しくまとめられている。その内容は制作取引の関係者にはもちろん、アニメ制作の現場を知るうえでも重要だ。
例えばアニメ制作の発注の全体の6割超が個人事業者へのものであり、企業と個人との取引が多いのがアニメ業界の特徴であることがわかる。発注の交付では前回の調査より上昇しているが、企業同士の取引では9割となるが、個人事業者とでは5割強と、個人事業者との取引に課題がある。
このほかアニメ業界が抱える課題や、改善の方法などが広く語られている。アンケートやヒアリングの結果も含めて、160ページ以上のボリュームとなった。
ガイドラインは現状と課題を前提として、下請法、独占禁止法について分かりやすくまとめている。とりわけ「見積・発注」、「発注の変更」、「受領」、「支払い」、「リテイク」など取引段階ごと留意ポイントと考え方を示しているのは便利だ。
それでもガイドラインは全体で80ページにも及ぶ。全てを熟読するというよりも、取引の際に気になった点、問題が起こりそうな時に該当箇所を確認するという使い方が便利だろう。
さらに参考資料として掲載されている「契約書でチェックすべき項目のリスト」や取引書類の書式例は、活用できそうだ。
経済産業省 コンテンツ産業
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/
平成27年度「コンテンツ産業強化対策支援事業(アニメ下請ガイドラインフォローアップ等調査事業)
goo.gl/NhT6Lw
アニメーション制作業界における下請適正取引等の推進のためのガイドライン
(平成28年7月29日改訂)
www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/guideline.htm