堤大介が監督する『ONI ~ 神々山のおなり』が、アニメーション界のアカデミーと呼ばれるアニー賞でふたつの部門で最優秀作品に選ばれた。2023年2月26日、国際アニメーション協会ハリウッド支部は、2022年に米国でリリースされたアニメーションから優れた作品とスタッフを選ぶアニー賞の各賞を発表した。
『ONI ~ 神々山のおなり』はこのうちテレビ放送や配信などをするシリーズを対象にするテレビ/メディア部門(リミテッドシリーズ)の最優秀作品に選ばれた。またテレビ/メディア部門のプロダクションデザイン賞にも選ばれた。プロダクションデザイン賞は日本なら美術賞にあたる。幻想的ながら暖かい身近さを感じる美しいビジュアルが評価されたようだ。受賞スタッフにはロバート・コンドウ、Rachel Tiep-Daniels、Lia Tin、さらに日本からトンコハウスに参加する橋爪陽平と稲田雅徳の名前も挙がっている。
トンコハウスは2014年に、ピクサー出身のロバート・コンドウと堤大介がカリフォルニア州バークレイに設立したブティック型のアニメーションスタジオだ。2019年には金沢にもスタジオを作り、日本にも馴染み深い。
今回の『ONI』では日本の昔話や愚話でお馴染みの鬼や神様、妖怪が登場するファンタジックな世界を舞台にCGアニメーションで映像化した。脚本を『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の岡田麿里が担当したのも話題だ。
監督の堤大介は2014年にロバート・コンドウと共同監督した短編『ダム・キーパー』で米国アカデミー賞短編アニメーション部門にもノミネートされた実力者。今後もトンコハウス、そしてそのスタッフと共に活躍が期待されている。
アニー賞は今年で50回目を迎える伝統のあるアワードで、映画、シリーズ、CMやゲームムービーまで30以上にわたり幅広い作品やスタッフを顕彰する。その受賞リストは2022年の米国のアニメーションの状況を一望するのに十分だ。
2022年はギレルモ・デル・トロが監督したストップモーション映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』の評価が高かった。長編作品賞や監督賞、音楽賞やプロダクションデザイン賞など5部門を受賞した。またテレビ/メディア部門で4部門を受賞した『Love, Death + Robots』などNetflix作品の活躍が目立った。
また長編作品(インディーズ)ではYouTube発の話題作『Marcel the Shell with Shoes On』がライバルの『犬王』などを退けて受賞した。『Marcel~』は3部門の受賞となった。