2018年「劇場版 ポケモン」が大変身! 制作にWIT STUDIO参加、監督に矢嶋哲生を抜擢

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 12月になり、2018年に公開される新作劇場アニメの情報が相次いでいる。なかでも12月10日に発表された「劇場版ポケットモンスター2018」の新しい展開が注目を集めている。第21弾となる映画は7月13日公開、また特報も披露された。
 7月前半の東宝系配給は例年どおりだが、東宝の新しい方針により初日が土曜日から金曜日に移される。またタイトルの「劇場版ポケットモンスター2018」は仮題で、今後正式名称が決定するとみられる。

 最新作の公開日決定と特報は毎年、恒例とニュースとなっているが、今年はこの中にサプライズが隠された。ひとつは監督の交代だ。
 今回から新たに矢嶋哲生を監督に起用した。劇場版ポケモンは1998年の『ミュウツーの逆襲』以来、過去20年、湯山邦彦が監督を務めてきた。シリーズ開始以来初の監督交代となる。
 矢嶋はこれまでテレビシリーズの『ポケットモンスター XY』や『ポケットモンスター XY&Z』の監督を経験してきた。2017年の『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』では副監督を務めていた。湯山邦彦はアニメーションスーパーバイザーとして引き続きシリーズに関わるが、人気シリーズに若手監督を抜擢したことになる。

 制作体制の変化は監督だけでない。アニメーション制作スタジオも過去20年間のOLMから、OLMとWIT STUDIOの共同制作に変る。WIT STUDIOは2012年に設立されたばかりだが、『進撃の巨人』、『甲鉄城のカバネリ』、『魔法使いの嫁』などのヒット作を次々に飛ばしてきた。
 しかし、その多くはコアなアニメファンをターゲットにしたものばかりだ。今回は劇場版ポケモンで、キッズアニメの元請に初挑戦することになる。
 OLMの代表取締役の奥野敏聡氏はWIT STUDIOの親会社であるIGポートの取締役を務めている。これまでの両社の連携は多かったが、そのひとつになる。

 さらに映像とストーリーの展開も動いている。特報からは、映画のキャラクターデザインが、大きく変ったことが窺える。金子志津枝によるキャラクターデザインは、これまでより丸みがあり、愛嬌を感じさせる。
 ストーリーは2017年の『キミにきめた!』に続き、テレビシリーズと連動しない。劇場シリーズはテレビアニメとは別方向との方針が見て取れる。『キミにきめた!』は過去5年連続で減らし続けた興行収入を6年ぶりに反転させたことでも注目を浴びた。

 こうした劇場版ポケモンの変化は、“ポケモン”全体のブランド再構築の一環とも言えそうだ。ポケモンは2015年のスマホアプリゲーム「ポケモンGO」の世界的大ヒットで、グローバルで人気がリバイバルして、認知度もあがっている。2019年にはユニバーサル・ピクチャーズ配給で初の実写映画が世界公開される。今年は2016年の『ボルケニオンと機巧のマギアナ』が、劇場シリーズとしては初めて中国で公開された。
 新しい劇場アニメシリーズは映画だけでも楽しめることになる。より広く、多くの人に、ポケモンを伝えるウィンドウをも目指していそうだ。

「劇場版ポケットモンスター2018」
http://www.pokemon-movie.jp/

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