「この世界の片隅に」から「劇場版 SAO」まで 日本から5作品エントリー、米国アカデミー長編アニメ部門

第90回米国アカデミー賞長編アニメーション部門

 2017年も終わりが近づくなか、米国の映画業界ではいよいよ賞レースが活発になってくる。その先陣を切って、米国映画芸術科学アカデミーは、第90回アカデミー賞の長編アニメーション部門のエントリー作品を発表した。
 このなかに日本アニメが5作品挙がった。片渕須直監督の『この世界の片隅に』、米林宏昌監督の『メアリと魔女の花』、神山健治監督の『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』、山田尚子監督の『聲の形』、伊藤智彦監督の『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』である。
 このうち『メアリと魔女の花』は2018年公開とされており、現時点で選考対象の条件のロサンゼルス地区での商業公開をしていない。12月末までにロサンゼルスでの先行公開をすることになりそうだ。

 第90回の長編アニメーション部門のエントリー数は26作品にも達した。史上最多であった2016年の27作品に続く活況だ。
 映画芸術科学アカデミーでは選考対象作品が16本以上にならなければノミネートを5作品としないが、この基準を軽々と超える。2010年以前は、エントリーは10数本でノミネートも3作品ということも多かっただけに様変わりである。

 エントリー数の増加は、2010年代以降のアニメーション映画への文化的、ビジネス的関心の強まりを反映している。ひとつはハリウッドメジャーの大作CGアニメーション製作本数の増加だ。今回もピクサーの『カーズ/クロスロード』、『リメンバー・ミー』を筆頭に、ワーナー、ソニー、ドリームワークス、イルミネーションなど11本にもなる。
 もうひとつは海外作品のエントリーの増加だ。今年はヨーロッパと日本を中心に14本にもなった。アワードの話題性の大きさもあり、米国で小規模公開をしたうえで応募されることが多い。日本のエントリー増加もこの流れだ。
受賞まで届かなくとも、インディペンデントや海外の作品がノミネートされることが多いことが、これを加速している。世界各地で長編アニメーションの製作が増えていることも反映しているだろう。

 しかし2017年の受賞、ノミネートの行方は混とんとしている。知名度の高さから毎年有利とされるハリウッドCGアニメーションに際立った作品が見当たらないためだ。海外作品のノミネートのチャンスは例年より広がる可能性が大きい。しかし『この世界の片隅に』も含めて、国際映画祭の受賞が多かった秀作が目白押しだ。ここでも大激戦で、どの作品が抜き出るのか予断を許さない。

 ノミネート作品は、2018年1月23日に明らかにされる。ここで絞られたノミネート作品の中から、3月4日にロサンゼルス・ハリウッドのドルビーシアターで開催される授賞式で最優秀賞が発表される。
 
第90回 米国アカデミー賞 長編アニメーション部門 エントリー(選考対象)作品

[日本からのエントリー作品]
■ 「この世界の片隅に」 片渕須直
■ 「メアリと魔女の花」 米林宏昌
■ 「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」 神山健治
■ 「聲の形」 山田尚子
■ 「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」 伊藤智彦

[エントリー作品]
■ 「The Big Bad Fox & Other Tales」 
   フランス Patrick Imbert、Benjamin Renner
■ 「Birdboy: The Forgotten Children」 
   スペイン Pedro Rivero、Alberto Vázquez
■ 「ボス・ベイビー」 
   米国(ドリームワークス) Tom McGrath
■ 「The Breadwinner」 
   カナダ/アイルランド/ルクセンブルク Nora Twomey
■ 「Captain Underpants The First Epic Movie」 
   米国(ドリームワークス) David Soren
■ 「カーズ/クロスロード」 
   米国(ピクサー) ブライアン・フィー
■ 「Cinderella the Cat」 
   イタリア Ivan Cappiello、Dario Sansone、Marino Guarnieri、Alessandro Rak
■ 「リメンバー・ミー」
   米国(ピクサー) リー・アンクリッチ
■ 「怪盗グルーのミニオン大脱走」 
   米国(イルミネーション) カイル・バルダ、ピエール・コフィン
■ 「The Emoji Movie」 
   米国(ソニー) Tony Leondis
■ 「Ethel & Ernest」 
   イギリス Roger Mainwood
■ 「Ferdinand」 
   米国(ブルースカイ) Carlos Saldanha
■ 「手を失くした少女」 
   フランス Sébastien Laudenbach 
■ 「レゴ バットマン ザ・ムービー」 
   米国(ワーナー) Chris McKay
■ 「The Lego Ninjago Movie」 
   米国(ワーナー) Charlie Bean、Bob Logan、Paul Fisher
■ 「ゴッホ~最期の手紙~」 
   イギリス・ポーランド ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン
■ 「ムーミン谷とウィンターワンダーランド」 
   フィンランド・ポーランド ヤコブ・ブロンスキ、イーラ・カーペラン
■ 「My Entire High School Sinking into the Sea」 
   米国 Dash Shaw
■ 「スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険」 
   米国(ソニー)  ケリー・アズベリー
■ 「The Star」
   米国(ソニー)  Timothy Reckart
■ 「Window Horses The Poetic Persian Epiphany of Rosie Ming」
   カナダ Ann Marie Fleming

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