2016年に映画『君の名は。』で、日本だけでなく世界に注目されるアニメーション監督になった新海誠。その全貌を改めて振り返る大型展覧会『新海誠展 「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』が、2017年11月11日から東京・六本木の国立新美術館でスタートした。
“新海誠”の名前を『君の名は。』で知った人も多いかもしれないが、その創作は2000年代、さらに90年代末にまで辿ることが出来る。2002年の『ほしのこえ』で大きな注目を集めたのが最初の大きなブレイクで、その後も『秒速5センチメートル』、『言の葉の庭』などで国内外の評価を高めてきた。『君の名は。』の大ヒットは、そうした長いキャリアによって積み上げられたものだ。
開催前日の10日には、会場となる国立新美術館にて、新海誠監督と『君の名は。』の瀧役の声を担当した神木隆之介さんが登壇した記者会見も行われた。
新海監督は、「国立新美術館のような場で展覧会が開催されるなんて想像もしていなかった。こうした経験はまた今後の創作につながっていくはずです」と語った。また展示の内容については、「あまり褒めると自分を持ち上げているようで」と、そして最近発表された実写ハリウッド版『君の名。』を引き合いにだし、作品が自分の手を離れて成長していくのを見守る気持ちとした。
『君の名は。』以前から新海作品のファンであったという神木さんは、展覧会は「最初から驚いた、ずっといたくなる場所」と、展覧会の楽しさを表現した。
本展覧会は、2017年6月から8月まで静岡県三島市の大岡誠ことば館、9月から10月まで長野県小海高原美術館で開催された展覧会の巡回展にあたる。しかし、国立新美術館のギャラリーで開催するにあたり、展示スペースや展示品、内容が大幅にボリュームアップしている。『ほしのこえ』、『雲のむこう、約束の場所』、『秒速5セントメートル』、『星を追うこども』、『言の葉の庭』、『君の名は。』には、それぞれ個別の部屋があり、よりゆったりとした空間で、絵コンテ、レイアウト、原画、関連資料、映像などをじっくり鑑賞できる。
さらに「テーマで読み解く新海誠」や、制作におけるCG映像や海外における新海誠といった視点を盛り込んだ。短編やCM作品なども取り上げ、『ほしのこえ』以前の『イース2エターナル』オープニングムービー、短編『彼女と彼女の猫』にも触れる。オープニングムービー、クロージングムービーもダイナミックに楽しめる。まさに新海誠全部入りの展覧会である。
ただし、展覧会の会期は12月18日までの1ヵ月あまりとやや短めだ。人気の新海誠監督がテーマだけに観覧する場合は早めの来場がよさそうだ。
新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで
東京会場特設ホームページ http://shinkaimakoto-ten.com/tokyo/