ターゲットは世界!総合出版社とCGのポリゴン・ピクチュアズが組む「講談社VRラボ」設立


 デジタル映像と技術を駆使して、あたかも仮想の世界に存在するかのように感じさせるVR(Virtual Reality)が、世界のメディア・エンタテイメント業界を席巻している。ベンチャー企業から巨大IT企業、メディアコングロマリットまでが続々この分野に参戦し、現在最も熱い分野になっている。
 そうしたなかで国内有数の出版社とCGスタジオが手を組み、VRコンテンツのビジネスに挑むことになった。講談社とポリゴン・ピクチュアズは2017年10月17日付で、共同出資の株式会社講談社VRラボを設立した。
 資本金は1000万円。講談社が70%、ポリゴン・ピクチュアズが30%出資する。両社の協力で、VRやARを中心とした先端表現技術を活用した新しい世代のエンターテイメントを研究・製作するという。
 代表取締役社長には、講談社出身で「週刊少年マガジン」の編集長も務めたこともある森田浩章氏が就任した。本社は東京都文京区音羽の講談社に置かれる。

 講談社は国内出版大手であるだけでなく、マンガ分野でも大きな存在感を発揮している。さらに近年の業績ではアニメの成長が著しい。映像分野を次世代の主力事業に、との戦略が講談社VRラボの設立からもみてとれる。
 一方ポリゴン・ピクチュアズは、日本最大、かつ最も歴史の長いCGスタジオである。長年積み上げられた技術は、日本だけでなく、世界でもトップクラスとされている。講談社とは、同社が刊行するマンガ『シドニアの騎士』、『亜人』のデジタルアニメーション制作とそのヒット作でつながりが深い。そうした関係が今回さらに発展することになる。
 
 講談社VRラボでは、両社の持ち味であるキャラクター、コンテンツを新しい技術で実現する。マンガ、アニメ、テクノロジー、新規事業開発などで活躍する人材を投入する予定だ。
 さらに当初から世界の映画賞や映像賞を獲得できるようなハイエンドな作品を目標とする。国境を越えやすいデジタル・コンテンツでのグローバルビジネスを目指す。今後の事業の成長には、海外市場が欠かせないとの考えがあるためだ。
 講談社VRラボの公式サイトでは、早くもバーチャルアイドルプロジェクトの「Hop Step Sing!」を紹介している。今後のさらなる展開も期待される。

株式会社講談社VRラボ
http://www.kodanshavrlab.com

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 第2回新潟国際アニメーション映画祭
     今年3月に初開催されて話題を呼んだ新潟国際アニメーション映画祭が、2024年3月に第2回を迎える。…
  2. 「アニメーションの表現」
     2023年10月23日から11月1日まで開催されている第36回東京国際映画祭は、昨年より上映本数、…
  3. 『いきものさん』© 和田淳・ニューディアー/東映アニメーション
     日本を代表するアニメーション作家として、いま“和田淳”を筆頭に挙げる人は多いだろう。2010年に『…
ページ上部へ戻る