「鬼平犯科帳」がTVアニメ化 伝説のプロデューサー丸山正雄、新設スタジオM2で挑む


1972年にアニメスタジオのマッドハウスを立ち上げ、2011年には新スタジオMAPPAを設立、数々の傑作、名作を世に送り出してきたアニメプロデューサー丸山正雄が、2016年また新たな挑戦をする。2016年3月に新たなアニメ会社スタジオM2を立ち上げて、アニメの企画・制作をスタートさせた。
制作トムス・エンタテインメント、アニメーション制作をそのスタジオM2が担当する新作テレビアニメ『鬼平』が2017年放送に向けて製作されることが発表された。
『鬼平』は時代劇小説の大家・池波正太郎の代表作『鬼平犯科帳』(文藝春秋刊)を原作とする。まさか大ベストセラーのアニメ化である。全135作に及ぶシリーズは累計発行部数2700万部、テレビドラマ、映画、そしてコミカライズ、舞台と様々なメディアに展開してきたが、今回初のアニメとなる。

テレビアニメで本格時代劇に挑む監督には、宮繁之を起用する。宮はこれまで『BUZZER BEATER』や『青い文学シリーズ「こころ」』、『ルパン三世 GREEN vs RED』、『SUPERNATURAL: THE ANIMATION』などを手がけてきた実力派である。
本作ではキャラクターデザインも宮繁之自身が手がける。今回公開された主人公の“鬼の平蔵”こと鬼平のビジュアルは、スタイリッシュでクール、これまでの鬼平像を覆す出来栄えだ。さらに音楽にはアニメ音楽の第一人者・田中公平とベイシスト川村竜が参加する。かつてない『鬼平犯科帳』がここに登場することになりそうだ。

そしてプロデューサーは丸山正雄が務めることだ。丸山は1960年代に虫プロでアニメのキャリアをスタートさせた後、アニメ会社マッドハウスを設立、『獣兵衛忍風帖』、『TRIGUN』、『千年女優』、『時をかける少女』、『電脳コイル』など、アニメ史に残る傑作を次々に企画・プロデュースしてきた。2011年には70歳でMAPPAを立ち上げ、ここでも『坂道のアポロン』、『この世界の片隅に』などの傑作を手がける。
さらに2016年には3つめのアニメ会社スタジオM2を作り出した。『鬼平』はそのスタジオの第1弾作品となる。これまで手掛けてきたアニメは200本以上、しかしその中でも時代劇は5本に満たなかったという丸山、さらに「根っからの池波ファン、取り立てて鬼平ファン」と公言する。作品に対する意欲は満々だ。日本を代表する時代小説と名プロデューサーが結びつくことで、一体どんな作品が生まれるのか、そして新鋭スタジオM2のアニメとは?2017年の放送が待たれる作品の製作発表である。

プロデューサー 丸山正雄氏コメント
” アニメに携わって約半世紀、時代劇と言われるタイトルに出会えたのはりんたろう、村野守美の「佐武と市捕物控」、杉井ギサブローと組んだ手塚治虫原作の「陽だまりの樹」、川尻善昭の傑作「獣兵衞忍風帖」…5本の指に足るぐらいでしかない。
それが今回、十年に一回のチャンスが巡って来て、本格的時代劇をアニメでやれることになった。「鬼平犯科帳」である。
困ったことに私は根っからの池波ファン、取り立てて鬼平ファンである。正直言ってプレッシャーはある。本当に我々でいいのか?
しかし、十年に一回いや二十年に一回のチャンスを逃すことはできなかった。実写とも違うアニメならでのエンターテイメントに挑戦出来るはずだ。

先ず鬼平ですが最初は初老で作ってみたが、アニメキャラとしては少し若さを強調してみました。無論、落着きと原作テイストのおおらかさも。監督でもある宮繁之のキャラクターデザインで決まりです。
江戸の街もリアルでありながらも美術的な美しいものに、音楽は田中公平and日本一のベイシスト川村竜によるジャズの雰囲気で!
原作を損なうこと無く、ただ原作をなぞるだけではない、アニメとしての魅力をどこまで出せるか!勝負です。
格調高いオーソドックスな時代劇、且つ時代劇だからできるケレン味。
しっかりした時代考証を抑えつつも、モダンでオシャレなセンス。むろんダイナミックな動き!そして破天荒な見せ場も。
相反するものを止揚して、美しい、どこにもない世界を目指します。

「長谷川さまの為ならこの命少しも惜しくはありません」と、宮監督は小房の粂八のように、あっちは年齢からして彦十さながら、鬼平の魅力に取り憑かれた我々は、厳しく悪を追い詰めながら、人情の機微を優しくみつめることを追い続けた池波正太郎の世界をまっすぐに見据えて行けたらと、何より誰もが愉しめるまっとうなエンターテインメントを今しか出来ない時代劇「鬼平」がやれたらとひたすら願っています。

M2 スタジオ 丸山正雄(「鬼平」プロデューサー)“

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