2017年9月から10月にかけて、デンマークのヴィボーに日本のアニメ・マンガが集結している。同地で開催されるヴィボー・アニメーション フェスティバル2017(Viborg Animation Festival 2017)が日本とデンマークの外交関係樹立150周年を記念して日本特集を組んでいるためだ。映画祭の中核となる27日から30日には、日本からも多数のゲストが現地を訪れて、多彩なイベントを繰り広げている。
29日には市内の中心にあるヴィボー・シアターで、両国でマンガを学ぶ若者が創作の技とアイディアを競うユニークなプログラム「マンガ アーティストバトル」が実施された。両国代表が国別のチームに分かれて、出されたお題に対して、即興でマンガを仕上げ、勝者を決めるというものだ。
日本代表は、今回のためわざわざデンマークを訪れた京都精華大学マンガ学部ストーリーマンガコース卒業生の三嶋浮さん、松浦健人さん、原百合子さんの3人。さらに同大学の学長で、少女マンガの巨匠・竹宮惠子さんも参加と強力な布陣とした。
対するデンマークは、同国のマンガ家カロリーネ・スチヤーンフェルトと、彼女が率いる若手3人である。
また日本からは『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』のおおひなたごう さんも、審査員として参加した。
バトルの方法は、まずは4人が個別で予選対戦。さらにそこでの結果に基づいてハンディキャップをつけて4人全員が参加する本戦に挑む。予選では、「パワフルなキリン」とか「オノマトペ(擬音)を使って冷蔵庫」といった奇想天外のものばかり。参加者はそれをテーマにわずか1分半で絵にする。
「なかなか大変だな」とは外部から感想で、そこは手慣れたもので両国ともかなりさらさらと描く様子に感心させられた。突飛なアイディアと巧みな技は甲乙つけがたく、個別戦4回は2対2の引き分けに。そして、そのまま本戦に突入した。
本戦は、4人がそれぞれ1分半、合計6分で巨大な用紙にひとつのマンガを描くというものだ。画力に加えてチームワークが問われる。
結果は、デンマークにちなんで剣と盾を構える人魚をマンガとして日本チームが見事勝利を手にした。勝負の決め手となったのは、最後に竹宮惠子さんが描いたキャラクターの顔の美しさであった。
海外でのアニメやマンガの交流は、展示会や講演会などに傾きがちだ。近年はワークショップも少なくないが、今回はそこにエンタテイメントも乗せて見ている人も楽しいというアイディアもたっぷりだ。
実際にSnapchatを通じてデンマークの若者に人気のLAKESERYTTERENさんが司会となり、勝負の様子はFacebookでライブ配信もされた。会場も満員と、大きな盛り上がりを見せた。マンガ通じた新しいかたちの文化交流を感じさせるのに十分だった。
ヴィボー・アニメーション フェスティバル2017(Viborg Animation Festival 2017)
http://animationsfestival.dk/