デンマークの日本マンガ・アニメイベントに3万人 展覧会、上映、トーク、セミナーまで

ヴィボー・アニメーションフェステバル

 日本のアニメやマンガなどポップカルチャーをテーマにしたイベントが世界各地で開催されている。日本文化の関心の高まりもあり、多数の来場者を集めるものも少なくない。そのなかでも2017年に注目を浴び、大きな成功を集めたのが、9月から10月にかけてデンマークのユラン半島のヴィボー市で開催された「ヴィボー・アニメーションフェステバル―カワイとエピックー」だ。
 会場となったヴィボーは、コペンハーゲンから飛行機で1時間、さらにそこから自動車で数10分という地方都市。そこに北欧で開催された日本のポップカルチャーイベントとしては、過去最大級の量と質の企画が並んだ。
 日本から企画・運営に携わったオフィスH(アッシュ)によれば、期間中の延べ動員数は2万9400名にも達したという。ヴィボーの人口が4万人であることを考えれば驚くべき数字である。

 イベントの成功は、マンガ・アニメのファンイベント、あるいは映画上映にとどまらない多角的なプログラム構成にある。幅広い年齢、興味を持つ人たちが、何かしら楽しめる工夫がされたことだ。
 まず目玉は、アニメーションフェステバルでの上映だ。60以上のプログラムと140本以上の上映の6割は日本作品。『君の名は。』や『この世界の片隅に』、『夜け告げるルーのうた』といった最新作から、東京国立近代美術館フィルムセンターからのクラシック、学生作品の「ICAFセレクション」までが並んだ。トークには日本から田中達之、吉崎響、ひらのりょう、桑畑かほると気鋭のクリエイターが招かれた。
 もうひとつ存在感を発揮したのは、市内中心部で開催された「ヴィボー マンガ&アニメ ミュージアム」だ。マンガやマンガの原画やアイテムなど850点以上が展示され、ワークショップやトークセミナーも実施した。

 ヴィボーならでは取り組みとなったのは、教育やコンテンツ産業、さらには企画開発をテーマのした数々のイベントだろう。
 クリエイティブメデア・インダストーフォラムでは、日本とデンマークから84名の業界関係者が参加し、アニメーションとゲーム産業が抱える課題や、今後の成長の可能性について討議した。これまで決して近いとは言えなかった2ヶ国での討論は、新しいアイディアをもたらしそうだ。
 ニッポンノルディク ユニバース・アクセラレータは、レジデンスワークショプで生まれた企画を、日本とヨーロッパのプロが審査し、アドバイスするもの。参加者がキャリアを重ねたプロということもありレベルの高い企画が続出した。
 教育面では、アニメーションを活用した教育方法について討論があった。さらに日本とデンマークの学生が即興マンガで対決するなど、エンタテイメントでも盛り上がった。

 今回の取り組みの大きな特長は、専門性の高いプログラムとエンタテイメントの両方を巧みに組み合わせたことにある。海外の大きな日本カルチャーイベントは、人気のアニメスタッフ、マンガ家、声優、アーティストが登場し話題になりやすい。一方で、より深い文化交流にまで至らないことが多い。
 逆にビシネスや教育プログラムは、一部の専門家だけにとどまり広がりにかける。注目も集まりにくいことから、海外でのプログラム自体がほとんど存在しない。
 「ヴィボー・アニメーションフェステバル―カワイとエピックー」は、双方のプログラムを組み合わせることで課題を乗り越える。海外で実施される日本ポップカルチャーイベントのひとつのモデルを提供する。

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