宮崎駿が4度目のNY映画批評家協会・最優秀アニメーション受賞「君たちはどう生きるか」

君たちはどう生きるか

 日本を代表するアニメ監督である宮崎駿が、最新作『君たちはどう生きるか』でまた映画の歴史に名前を残しそうだ。2023年11月30日、米国のニューヨーク映画批評家協会(New York Film Critics Circle)は、2023年に米国公開された最も優れた長編アニメーションとして『君たちはどう生きるか』を選出した。
 宮崎駿監督のニューヨーク映画批評家協会での最優秀アニメーション賞受賞は2002年の『千と千尋の神隠し』、2005年の『ハウルの動く城』、2013年の『風立ちぬ』に続き4度目だ。
4度の受賞はアニメーション監督として突出しているだけでなく、スタジオとしてもスタジオジブリの4回はピクサーにも並ぶ。米国・ニューヨークにおける宮崎駿監督への圧倒的な評価を見せつけた。
 
 ニューヨーク批評家協会は1935年に設立された映画批評家たちの集まりだ。商業や政治とは無縁な場で映画芸術を讃えるとして、1935年よりアワードもスタートしている。ただし長編アニメーションのジャンルへ確立が遅れていたこともあり、最優秀アニメーション賞は2000年に設立された比較的新しいアワードでもある。
 米国には数多くの映画批評家協会によるアワードがあるが、ニューヨーク批評家協会はロサンゼルス批評家協会と並び最も注目を浴びる。アカデミー賞やゴールデングローブ賞の前哨戦ともされるが、その理念から受賞作品にはより個性がある。興行的な成功も鍵となるアカデミーやゴールデングローブに較べると文学的な作品がより評価され、文字どおり批評家的な視点が強い。
 『ズートピア』や『ウォーリー』、『レゴムービー』といったハリウッドメジャーの受賞もあるが、カートゥーンサルーン制作の『ウルフウォーカー』を筆頭に『ペルセポリス』、『ベルヴィル・ランデブー』といった海外作品も多い。前回の受賞は、ネットで人気の短編ストップモーション・アニメーションを劇場映画化した『マルセル 靴をはいた小さな貝』だった。いずれもアニメーション史に名を残す傑作だ。

 『君たちはどう生きるか』は2023年での受賞となったが、実際には米国でこれまで上映されたのは、映画祭などのイベントのみである。
 12月4日よりIMAX先行公開、6日にIMAX公開、8日の一般公開が続く。大きな賞の獲得は、既に絶好調とされている前売りと合せて、映画興行も盛り上げそうだ。

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