カナダで開催されたオタワ国際アニメーション映画祭(Ottawa International Animation Festival)にて、今年も日本のアニメーション作家が大きな功績を残した。未就学児向け(プレスクール)短編部門のコンペティションで、日本の宮澤真理氏の『こにぎりくん』がグランプリに輝いた。
オタワでの日本の受賞は、2015年の二瓶紗吏奈氏の『帽子をかぶった小さな人々』の短編部門グランプリ、2016年の折笠良氏の『水準原点』の実験・抽象作品賞、2017年の湯浅政明監督の『夜は短し歩けよ乙女』の長編部門グランプリと4年連続になる。2007年の短篇グランプリ『カフカ 田舎医者』(山村浩二)も含めて日本作品との相性のよい映画祭といえそうだ。
宮澤氏はお弁当をアートに見立てたキャラクター弁当で注目を浴びた後、2011年に東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻に進んだ。食べ物をキャラクターとしたストップモーションを発展させ、独自の世界を作りだした。
国内外での評価は高く、これまでも数多くの映画祭・コンテストに出品してきた。TOHOシネマズ学生映画祭 グランプリやシュトゥットガルト・アニメーション国際映画祭の公式コンペなどの実績がある。今回は大きな映画祭での大きな賞で、その評価を固めた。
オタワ国際アニメーション映画祭は、1976年にスタート、フランス・アヌシー、広島、クロアチア・ザグレブと並び、世界四大アニメーション映画祭と称される。期間中の来場者は2万8000人、今年は世界84ヵ国地域から応募された2469作品から80本あまりが上映されたが、コンペティション入りだけでもハードルは高い。
2018年には日本から、短編部門に林俊作氏『Down Escalation』、冠木佐和子氏『WAAAAH』、受託作品部門に山田遼志氏『MAD LOVE』、そして未就学児向け短編部門に溝口広幸氏『ふわふわアワー PuiPui&MuuMuu』と宮澤真理氏の本作がコンペテイションに選ばれていた。
このほか短編部門のグランプリとなるネルバナ・グランドプライズ・インディペンデント短編賞には、デンマークRéka Busic氏の『Solar Walk』が選ばれた。
長編アニメーション部門のグランプリは、ベルギー・フランス・オランダの合作『This Magnificent Cake!』(Emma de Swaef/Marc James Roels監督)である。そして特別賞には、日本の東京アニメアワードフェスティバルでもグランプリになった台湾の宋欣頴監督の『On Happiness Road』が受賞している。