2017年10月20日から22日までの3日間、ロサンゼルスのハリウッド中心地にあるTCL チャイニーズ・シアターで、「Animation Is Film 映画祭」が開催される。フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭と、米国のエンタテインメント情報メディアのヴァラエティ、そして配給会社のGKIDSが共同主催する新しい映画祭だ。
映画祭のスタートは、今年6月にアヌシー国際アニメーション映画祭にて発表された。開催決定から短期間にも関わらず大きな注目を集めるのは、世界的に知られたアヌシーと映画業界人が誰でも知るヴァラエティ、それに北米での海外長編アニメーション紹介を一手に担ってきたGKIDSの3者による取り組みが理由である。それは映画祭のスポンサーがグーグルとイベント上映の大手ファントム・イベントであることからも窺える。
その映画祭でコンペティション上映される長編映画がこのほど明らかにされた。全部で8本の中には日本から湯浅政明監督の『夜明け告げるルーのうた』と、米林宏昌監督の『メアリーと魔女の花』も含まれている。
ラインナップの特長は、グランプリ(クリスタル賞)を獲得した『夜明け告げるルーのうた』を初め半分にあたる4本が今年のアヌシーの長編コンペ作品であることだ。また、米国製作の映画は1本も含まれていない。海外の優れた長編を米国に紹介する目的が明確だ。
それは全作品が北米プレミアまたは米国プレミアであることからわかる。米国での海外長編アニメーション上映は決して多くなく、それだけに「Animation Is Film映画祭」の開催意義も大きい。
アヌシーでは審査委員賞を受賞した『この世界の片隅に』とコンペインした『聲の形』は、今回はラインナップからは外れている。『この世界の片隅に』8月に米国公開済み、『聲の形』は7月のアニメエキスポで北米プレミアをしたうえで10月から米国公開がスタートする。
逆に『メアリーと魔女の花』は、この場が北米初上映。その反響は、GKIDSによる今冬の米国配給の試金石になるだろう。『夜明け告げるルーのうた』も今回が北米初だ。
審査員委員はヴァラエティの海外映画批評のチーフであるピーター・デブルージら6人、アヌシーとは大きく変る。アヌシー出品の4作品については、異なる審査員ではどのような結果が現れるのかも興味深い点だ。
Animation Is Film映画祭
http://animationisfilm.com/
[長編アニメーション コンペティション作品]
『The Breadwinner』 ノラ・トゥーミー (カナダ/アイルランド/ルクセンブルク)
『The Big Bad Fox & Other Tales』 パトック・アンベール&ベンジャミン・ルナー (フランス)
『大魚海棠』 リャン・シュエン/チャン・チュン (中国)
『Birdboy: The Forgotten Children』 アルベルト・ベラスケス/ペドロ・リベロ (スペイン)
『夜明け告げるルーのうた』 湯浅政明 (日本)
『メアリーと魔女の花』 米林宏昌 (日本)
『テヘラン タブー』 アリ・スーザンデフ (ドイツ)
『ゾンビリウム』 アルチュール・ド・パンス&アレクシス・ドゥコー(フランス)