国内第2位のスクリーン数を持つ映画興行チェーンTOHOシネマズの都内劇場再編が急激に進んでいる。2017年8月31日、TOHOシネマズは東京千代田区有楽町のTOHOシネマズ日劇を2018年2月をもって閉館すると発表した。
TOHOシネマズ日劇は、1933年に設立された日本劇場に源流がある国内を代表する大型映画館。設立当初は独立した劇場で、再開発により1983年からは有楽町ビルに収容される3劇場(2136席)体制となった。閉館決定で、伝統のある「日劇」の名称も幕を閉じる。
今回の決定は、2018年に近隣の千代田区日比谷にTOHOシネマズ日比谷をオープンするのに合わせた。TOHOシネマズ日比谷は新たに約2300席11スクリーンを新設、さらに隣接するスカラ座とみゆき座を統合した13スクリーン体制となる。
新設スクリーンの座席数は日劇の約2100席とほぼ近い約2300席だが、スクリーン数は3から11に増える。客席数の多い大型劇場から、様々なサイズの劇場を多く用意するかたちだ。13スクリーンのシネコンとして一体運営することで、観客のニーズに応じた多様な作品を臨機応変に提供する。
日劇閉館の一方で、当初閉館予定とされてきたTOHOシネマズ シャンテの閉館が撤回された。シャンテは3スクリーン約600席と日劇に較べると劇場のサイズは小ぶりである。またTOHOシネマズ日比谷の正面に位置することから、今回の再編で東宝は日比谷地区に16スクリーン約3600席を持つことになる。都内最大規模の施設となる。
シャンテは国内外のインディペンデント作品、アート作品を得意としてきた。作品の多様性を与えることで、TOHOシネマズ日比谷を補完する劇場としての役割を期待されそうだ。
TOHOシネマズは、近年、都内の劇場興行の台風の目となっている。2014年には9スクリーンのTOHOシネマズ日本橋、15年に12スクリーンTOHOシネマズ新宿を相次いでオープンした。さらに本年秋に上野、18年に日比谷、20年には池袋で大型シネコンの開設を予定する。
積極的な新規開業の一方で、2015年2月にTOHOシネマズ 有楽座、17年2月にお台場のシネマメディアージュを閉館している。劇場の再編でより効率のよい体制を目指していることが窺われる。