永井豪の往年の人気マンガを東映アニメーションが45年ぶりにアニメ映画化する『劇場版マジンガーZ』が、日本に先駆けてイタリアで公開される。イタリアの映画会社Lucky Redは、本作を2017年10月に公開すると発表した。タイトルは『Mazinga Z』になる。
東映配給による日本公開は2018年1月13日が既に明らかにされている。イタリア公開が日本よりおよそ3ヵ月先行する。
『劇場版マジンガーZ』の製作は、2017年3月に東京ビッグサイトで開催された「AnimeJapan 2017」のステージで発表された。当初より日本に先駆けて世界公開されるとしており、そのひとつがイタリアであることが明らかになった。
『劇場版マジンガーZ』の原作者である永井豪は、『マジンガーZ』のほか『UFOロボグレンダイザー』や『デビルマン』、『ゲッターロボ』などを通じてイタリアで絶大な人気を誇る。Lucky Redは映画のターゲットは子どもの頃アニメを楽しんだ人たちと明解だ。
本作は製作発表こそ東京であったが、その後のマーケティングも海外、とりわけヨーロッパ重視が際立っている。特報映像の初公開は6月にフランスで開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭。文字どおりグローバルタイトルであることが分かる。
配給のLucky Redは、『劇場版マジンガーZ』を東映アニメーションが2013年に製作したフルCG劇場映画『キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』の成功に続くものと位置づけている。
フルCG映画『キャプテンハーロック』は、日本では約5億円の興行収入にとどまった。しかし世界興収は約20億円、日本市場の占める比率は1/4以下と、海外主導の作品となった。なかでも大きな結果を残したのがイタリアで、興行収入は7億円を超え日本の1.5倍となっている。イタリアの映画興行市場の大きさを考えれば、かなりのヒットと言っていい。それに続いたのがフランスでこちらも6億円以上、イタリアとフランスの2ヶ国で世界興収のおよそ2/3を稼ぎ出した。
このイタリア興行を成功に導いたのがLucky Redである。Lucky Redはもともとヨーロッパを中心とした良質の映画、そして今後の活躍が期待される若手監督の作品を得意としてきた。しかし、現在はより商業性を重視した作品を「Key Films」のレーベルで配給している。
「Key Films」の主力タイトルには多くの日本アニメが含まれている。「映画ドラえもん」シリーズ、『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』、『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』、「映画ドラゴンボール」シリーズ、『バケモノの子』などがあり、スタジオシブリ作品もイタリアでは同社が扱う。
さら『劇場版マジンガーZ』がこれまでの日本アニメ映画とは異なるのは、日本より早い公開である。どこよりも早く最新作が見れるとなれば、メディアやファンの盛り上がりも違ってきそうだ。フルCG映画『キャプテンハーロック』を上回る成果を残せるかが鍵になる。