アニメーション制作のアニメーションスタジオ・アートランドが、2017年6月に弁護士に債務処理を一任していることが明らかになった。7月7日に、企業信用調査の帝国データバンクが報じた。
帝国データバンクによれば、アニメーションスタジオ・アートランドは2016年12月期末に約1億9300万円の債務超過になっており、負債総額が約2億9300万円だったという。
アニメーションスタジオ・アートランドは、2010年12月に当時マーベラスの子会社であったアートランドの代表取締役の岡野国治氏により設立された。この際に著作権保有・版権事業をアートランドに残し、企画・制作部門を新会社のアニメーションスタジオ・アートランドに移譲した。
アートランドは、1978年に設立された老舗のアニメスタジオで、『超時空要塞マクロス』や『銀河英雄伝説』などの制作に参加、数多くの実力派スタッフを輩出したことで知られる。アートランドはその後、2015年2月にマーベラスに吸収合併されている。同社が製作に参加したアニメ「蟲師」シリーズや、『家庭教師ヒットマン REBORN!』の権利は、マーベラスが承継している。
アニメーションスタジオ・アートランドは、権利を持たずアニメーション制作の受注だけで事業を続けてきた。「閃乱カグラ」シリーズや、『蟲師続章』、『小森さんは断れない!』などを制作している。また、この6月まで放送された『sin 七つの大罪』の制作にも参加していた。しかし、近年のアニメーション制作の競争激化、人手不足などによるコスト増加などが、経営を圧迫したとみられる。
2016年4月には、中国資本の日本のアニメ会社絵梦から出資を受けて子会社となっていた。しかし、今回絵梦が新たな出資を行うかは不透明、債務整理を選んだことになる。アニメーションスタジオ・アートランドの今回の決定は、取引先にも影響を与えそうだ。