広島国際アニメーションフェス グランプリに韓国チョン・ダヒ監督の「空き部屋」


2016年8月18日から22日まで開催された第16回広島国際アニメーションフェスティバルで、コンペティションの受賞作品が、最終日22日に発表された。このうち最も注目されるグランプリには、韓国のチョン・ダヒ監督の『空き部屋:The empty』が輝いた。
『空き部屋』は愛する人が過ぎ去った部屋とその思い出を2Dアニメーションで描いた。「繊細で洗練された名作」と、受賞理由は説明されている。
チョン・ダヒ監督は2014年に『椅子の上の男:Man On The Chair』でアヌシー国際アニメーション映画祭でもグランプリ、日本の文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞を受賞するなど、これまでも数々の賞に輝いている。広島での受賞は、傑作を作りつづける実力を証明し、これまでの実績をより確かなものにした。また作品の制作にあたっては、フランスのプロダクションSacrebleu Productionsも参加した。

一方で、愛と平和を掲げた作品を顕彰するヒロシマ賞は、ロシアのアンナ・ブダノヴァ監督の『アモング ザ ブラック ウェーヴズ』が、デビュー賞にはフランスのガブリエル・アレルの『ユル アンド ザ スネーク』、 木下蓮三賞はフランスのダヴィッド・コカール・ダソの『ペリフェリア』が選ばれた。また審査員でなく来場者の支持で選ばれる観客賞は、ロシアのナターリア・チェルニェソヴァの『ザ ゴッサマー』に決まった。フランスとロシアの作家が活躍が目立った。
日本からは国際審査委員特別賞のひとつとして岡崎恵理監督の『FEED』が、6作品ある優秀賞に山村浩二監督の『サティの「パラード」』と坂元友介監督の『ナポリタンの夜』が選ばれている。

2年に一度、開催される映画祭には、今回は世界78ヵ国・地域から2,248もの応募があった。この中から厳選された60作品が、コンペティションとして上映された。応募の9割近くが海外からと、広島ならではの国際色の豊かな映画祭となっている。
審査委員長を務めた米国のアニメーション作家クリスティーヌ・パヌーシュカは、「それぞれが特別で、優れた作品ばかりでした」と、コンペティション作品の質の高さを讃えている。

THE EMPTY trailer from dahee Jeong on Vimeo.

第16回広島国際アニメーションフェスティバル 主要受賞作品

■ グランプリ
『空き部屋』 The empty (大韓民国/フランス)
チョン・ダヒ
■ ヒロシマ賞
『アモング ザ ブラック ウェーヴズ』 Among the black waves (ロシア)
アンナ・ブダノヴァ
■ デビュー賞
『ユル アンド ザ スネーク』 Yùl and the Snake (フランス)
ガブリエル・アレル
■ 木下蓮三賞
『ペリフェリア』 Peripheria (フランス)
ダヴィッド・コカール・ダソ
■ 観客賞
『ザ ゴッサマー』 The Gossamer (ロシア)
ナターリア・チェルニェソヴァ

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