文化庁「国際共同製作映画支援」4作品を発表 今年度、アニメの採択なし

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 文化庁は、平成29年度(2017年度)国際共同製作映画支援事業の支援対象4作品を決定、発表した。採択されたのは、ユーロスペースがフランスと共同製作する『アネット』、KADOKAWAと中国の『空海 KU-KAI』、ギークサイトと米国の『ハナレイ・ベイ』、そして松竹とインドの『Love in Tokyo』である。
 このうち支援額は『空海 KU-KAI』が一番大きく1億100万円、また『Love in Tokyo』は8150万円、『アネット』は7634万円、『ハナレイ・ベイ』は4851万円。1作品あたりの支援額が、例年より大きくなっている。

 国際共同製作映画支援事業は平成23年度(2011年度)からスタートし、今回で7年目を迎える。映画による国際文化交流の推進、国内映画産業の振興を目的としたものだ。
 今年度の支援額が高くなったのは、全体予算がこれまでの2億800万円が、3億1000万円に引き上げられたためだ。これに伴いこれまで5000万円であった支援総額の上限が1億円に引き上げられた。(字幕・音声ガイド制作費支援を除外)より製作予算の大きな映画にも配慮した。

 事業の支援対象には、実写映画のほか長編アニメーション映画も含まれるが、今年度はアニメーション映画の採択はなかった。申請件数は1作品のみで、製作者からの活用意欲が高くないのも理由だ。
 事業では平成23年度に『グスコープドリの伝記』(手塚プロダクション)、『BLOOD-C 劇場版』(プロダクション I.G)、平成24年度に『ドラゴンボールZ』(東映アニメーション)、平成25年度の『アップルシードアルファ』(ルーセント・ピクチャーズエンタテインメント)と制度の利用が続いた。しかし、平成26年度、27年度といずれも採択なし、28年度は『海獣の子供』(美よんどしい)が採択されたものの今年度もなかった。近年、アニメーション映画の申請は少数で、活用実績がほとんどなくなっている。

 アニメーション映画の国際共同製作は、必ずしもないわけではない。近年は、中国を中心としたアジア各国との共同製作を探る動きは少なくない。
 しかし、アニメーション映画は、企画からスタートし、制作に入り、撮影・録音を経て作品完成までに通常数年を要する。募集開始・採択決定の翌年3月末までに作品を完成しなければいけない現在の支援事業のシステムは使い勝手が悪いと指摘もある。支援金額も決して少なくないだけに、アニメーション映画に対する支援事業の仕組みの見直しも今後は検討されるべきだろう。

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