国内大手映画会社の松竹は、2017年4月14日に2017年2月期の通期決算を発表した。連結決算は前年比4%増の961億7300万円、営業利益は75億4000万円(1.8%増)、経常利益は66億2600万円(0.8%増)といずれも前年比微増であった。また当期純利益は37億1000万円の4.8%減である。
全体に動きの少なかった一年であったが、アニメ映画の活況が目立った。配給作品では、興行収入が23億円に達した『映画 聲の形』が最大のヒットになった。期間中の配給作品は、邦画21本に匹敵する18本と多く、洋画6本を大きく超えた。
また1945年に制作された日本初の長編アニメーション映画『桃太郎 海の神兵』をデジタル修復し、カンヌ映画祭で上映した。100年の歴史を持つ日本のアニメーションに、文化面でも貢献する。
映像関連事業は全体でも堅調だった。売上高は547億1900万円(7.7%増)、営業利益は31億3900万円(14.5%増)。製作・配給のほか、興行も手がけている。こちらは『ズートピア』、『シン・ゴジラ』、『ファインディング・ドリー』、『君の名は。』が牽引している。
映像ソフトでは、か「ARIA」シリーズや、劇場公開もヒットになった『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』、『母と暮せば』、『殿、利息でござる!』が好調であった。さらにテレビ放映権では、インターネットの月額定額制配信向けに『ソロモンの偽証 前後篇』、『天空の蜂』、「男はつらいよ」シリーズ、「釣りバカ日誌」シリーズを販売し収益につなげた。テレビ制作、CS放送事業も堅調であった。
演劇事業は、売上高251億400万円(2.3%減)、営業利益24億1300万円(9.2%減)と弱含んだ。市川猿之助主演のスーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」も人気だった。こちらはシネマ歌舞伎化もされた。
不動産事業は、売上高102億4500万円(0.7%増)、営業利益43億1900万円(3.3%増)。歌舞伎座タワー、銀座松竹スクエア、東劇ビル、新宿ピカデリー、有楽町マリオンなどが主力で、いずれも高い稼働率を維持した。
2018年2月期は、売上高は前期並み(5%増)の5828億円を見通す。一方で、経常利益は32億2000万円(5%減)、当期純利益も20億8000万円(0.8%減)と今期並みの予想だ。
主要な作品は、山田洋次監督の『家族はつらいよ2』、「HiGH&LOW」シリーズ最新作、『8年越しの花嫁』。そしてマンガ原作から、人気作品の実写映画化で『東京喰種 トウキョウグール』と『曇天に笑う』がある。いずれもアニメ化、舞台化がすでに成功しているだけに、実写映画への期待も大きそうだ。