日本では2022年11月11日に公開、その後大ヒットになった新海誠監督の『すずめの戸締まり』が2023年になりいよいよ海外展開を開始する。すでに2023年4月の北米・ヨーロッパ公開が発表されていたが、中国や韓国、台湾、インドなど注目のマーケットでの公開日が相次いで発表された。
現時点で国外最速公開になりそうなのが2023年3月2日(木)の台湾と香港、さらに韓国の3月4日(土)が続く。インド公開は4月21日(金)とされている。3月24日の中国公開は大きな注目を浴びそうだ。同じ新海誠監督の『君の名は。』は、中国で最もヒットした日本映画だから、『すずめの戸締まり』も大きなヒットが期待される。コロナ禍で中国での日本アニメ映画のヒットが減っていることもあり、今後の中国市場を占う試金石にもなるだろう。
また海外公開に先立って、ビッグニュースも報じられている。2月16日からスタートするベルリン国際映画祭のメインコペティションへの公式出品の決定だ。ベルリン国際映画祭は、世界からエントリーされた数多くの作品から十数本のみが公式作品に選ばれる。日本アニメとしては、2002年に金熊賞(グランプリ)を受賞した『千と千尋の神隠し』以来、21年ぶりの快挙だ。
ベルリン、カンヌ、ヴェネチアなどの大型映画祭の主要部門は、通常はまだ一般公開せず映画祭が初上映となるワールドプレミアを選考基準とする。しかし『すずめの戸締まり』はすでに日本で全国公開済み、日本以外で初上映となるインターナショナルプレミアとしたがベルリン国際映画祭では異例だ。映画祭側の是非、コンペティション部門に入れたかったとの強い意志も感じる。それだけにコンペの結果にも期待がかかる。ベルリンでの上映は映画祭の後半にあたる2月23日から25日で、授賞式の直前となる。
世界の公開日設定からは、『すずめの戸締まり』は当初からこの時期のインターナショナルプレミアが必要な映画祭のコンペティション入りを狙っていたとも考えられる。通常は日本公開からあまり時期を置かずに公開がスタートする韓国、台湾の公開が3月に置かれたことからも推察できる。
同時にこれにより、2月のベルリン国際映画祭、3月の東アジア、そしてすでに発表されている北米・ヨーロッパ・オセアニアの4月12日から14日にかけた集中公開といった流れができる。またアジア以外の世界配給権を持つクランチロールは4月13日からラテンアメリカ各国での公開も発表した。
さらに4月16日からは『すずめの戸締り』をはじめ新海誠監督の『君の名は。』、『天気の子』の音楽を担当したRADWIMPSの北米ツアーも実施される。サンノゼをスタートにロサンゼルス、メキシコシティ、シカゴ、トロント、ニューヨークなどの都市をめぐる予定だ。映画と合わせて話題になりそうだ。