乙女向け恋愛アプリのボルテージが通期決算発表 海外向け注力も伸び悩む

ファイナンス決算

女性向けの恋愛アプリのタイトルを数多く展開するボルテージが、8月12日に2016年6月期の通期決算を発表した。連結売上高は112億1900万円(5.8%増)、営業利益は5億3000万円(13.6%増)、経常利益が4億8800万円(0.6%増)である。売上高、営業利益とも増加したが、不発に終わったLINE GAMEユーザー向けの『悪魔と恋する10日間』の減損損失を計上したことから、最終的には当期純損失が2億1000万円になった。
スマートフォン向けのアプリを提供する会社は数多いが、ボルテージは若い女性向けの恋愛アプリに特化しているのが特徴である。またアプリはストーリー性を重視しており、同社ではゲームではなく恋愛ドラマアプリと呼んでいる。さらにこれを国内だけでなく英語圏にも積極展開している。これらのジャンルだけで年間売上高が100億円を超える。ニッチな市場で大きなボリュームを掴むユニークな戦略を持つ。

ボルテージは事業セグメントもユニークだ。恋愛向けドラマアプリを日本版と英語版の市場ごと区分し、さらにストーリーに合わせてサスペンスアプリを別区分に設ける。
このうち主力の日本版恋愛ドラマアプリは堅調で売上高94億6700万円と6%増、経常利益も13億5600万円と13%の増加となった。とりわ『天下統一‐恋の乱 Love Ballad』、『ダウト~嘘つきオトコは誰?~』が好調だった。一方『花より男子』、『悪魔と恋する10日間』は苦戦した。『悪魔~』はLINE GAMEユーザーとの親和性、運用が苦戦の理由としている。
英語版の売上高は16億8000万円と13%増加したが、営業損失は3億8400万円に拡大した。新規タイトルが低調で、全体で横ばいとなっている。新規事業として先行投資の重さが赤字の理由とみられる。
一方サスペンスアプリは売上高4300万円、前年比で79%減である。前年に引き続き赤字で3億500万円を計上している。

会社は全体としてみれば堅調だが、新規事業は脚踏み上程である。このため企業経営からは危機意識が感じられる。2016年7月1日付で代表取締役会長の津谷祐司氏が、代表取締役社長に復帰、会長職と兼務して経営の指揮を執る。
また今期注目されるのが、戦略子会社である株式会社ボルモの設立だ。社名は「ボルテージ」と「モーション」を掛け合わせていることから分かるように、アニメのようなコンテンツを目指すという。動画時代に合わせた新しいタイトルを目指す。

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