電子書籍取次再編へ メディアドゥが出版デジタル機構を子会社化 

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 海外進出やマンガ情報サイト、コミックカラーリング事業の買収とメディアドゥの電子出版分野における積極的な攻勢が続いている。2017年2月28日には、さらに驚きのニュースが発表された。
 メディアドゥは、電子書籍取次大手の出版デジタル機構の株式70.52%を産業革新機構から取得し子会社化する。出版デジタル機構は電子書籍取次シェア第1位、それが下位のメディアドゥが飲み込むかたちだ。
 取得価額は79.4億円、年間売上高112億円、営業利益5億円の企業にとっては、かなり大胆な決断になる。公正取引委員会の判断を待ち、2017年3月31日に株式譲渡を予定している。

 電子書籍のマーケットは近年、急成長が続いている。こうした成長を見越した市場参入が相次ぎ、電子書籍ストアは数多い。しかし、そうした各ストアに作品を供給する取次事業は出版デジタル機構、メディアドゥのほかモバイルブック・ジェーピーの3社で市場のほとんどを占めている。
 今回、メディアドゥが出版デジタル機構を子会社化することで、プレイヤーは事実上2社に絞られる。さらにその大半をメディアドゥと出版デジタル機構が占めることになる。
 メディアドウが株式取得にあたり、公正取引委員会に企業結合審査を届け出るのもこのためだ。しかし、出版デジタル機構の設立は、もともと海外の大手流通企業に対抗する挙国一致的な性格が強かった。業界の集結は、当初に目指したものとも言える。

 出版デジタル機構は、書籍のデジタル化の促進を掲げて2012年4月に小学館、講談社、集英社など出版11社が発起人となり設立された。さらに凸版印刷と大日本印刷、政府系の投資ファンド会社である産業革新機構が共同出資する。
 強力な株主を背景に事業を成長させてきた。しかし、産業革新機構の事業目的から最終的には民間移行が求められる。2016年3月期には売上高146億3600万円、営業利益・経常利益6億2500万円と業績が黒字化したのも機会に、同業有力企業のメディアドゥへの事業譲渡の流れになったとみられる。

 出版各社、そして凸版印刷と大日本印刷は、引き続き出版デジタル機構の大株主に留まるとことになりそうだ。さらにメディアドウの株主にも、小学館(2.2%)、講談社(2.0%)、そして2月に発表された集英社の出資(1.0%)も含めて、出版社が並ぶ。出版デジタル機構の目指した業界の協力による電子書籍取次は、メディアドウを中心に引き継がれる。

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