電子書籍取次のメディアドゥの事業の多角化が続いている。メディアドゥは、マンガ作品のカラーリングや作画で定評のあるアルトラエンタテインメントから、マンガ関連事業を取得すると発表した。
メディアドゥが新たにアルトラエンタテインメント株式会社(新)を設立し、アルトラエンタテインメント株式会社(旧)より事業を引き継ぐ。譲渡対象となるアルトラ(旧)の売上高は、2017年1月期で2億1700万円、経常利益は3700万円。譲渡価額は8億円となる。
2017年4月30日の事業譲渡完了後に、アルトラ(旧)の代表である岡田有正氏が、アルトラ(新)の代表に就任する。これまでの事業体制を引き継ぐ。
メディアドゥは、電子コミック配信で各プラットフォームが流通させる作品を取りまとめる取次事業を手がけている。一方で2016年以降は事業の多角化にも積極的だ。1月にはマンガ情報サイトを運営するマンガ新聞社も買収している。
また海外展開も3つの主要事業のひとつとして位置付けている。2016年には米国サンディエゴにMedia Do International, Inc.を設立した。日本コンテンツの海外流通を目指す。
海外展開をする際に、今回、取得したアルトラのコミックカラーリングの技術が鍵になりそうだ。日本で刊行されるマンガのほとんどは白黒で描かれるが、アメリカンコミック、バンドデシネでは、作品の多くが当初よりフルカラーで制作される。
海外でも日本マンガの多くは、白黒で出版されている。しかし、日本マンガファン以外のより幅広い読者を獲得するために、マンガのカラー化が効果的と指摘されている。実際に海外展開も視野に入れた、電子コミックのためのマンガのカラー化は増えている。日本マンガの海外人気が広がる中で、カラーリング技術の重要性は増している。
そうしたなかでアルトラは、『ドラゴンボール』、『ワンピース』といった人気作品のカラーリングを多く手掛けている。そのクオリティと技術は高く評価されているという。メディアドゥが、アルトラの技術をどう活用していくかが注目される。