日本アニメ・マンガの英語圏情報交流サイトMyAnimeListの親会社がDeNAからメディアドゥホールディングス(メディアドゥHD)に移動する。2019年1月15日、デジタル出版の大手メディアドゥHDは、英語圏最大のアニメ・マンガのコミュニティサイト「MyAnimeList」を買収すると発表した。
メディアドゥHDの米国法人Media Do International, IncがDeNAの米国法人DeNA Corp.から、サイトを運営するMyAnimeList, LLCの全持分株式を取得する。これによりMyAnimeListは、メディアドゥHDのグループ企業となる。株式の譲渡価格は非公表。
MyAnimeListは2005年に米国で誕生した。インターネット上でファンが日本のアニメ・マンガの情報をやりとりするのが特徴で、豊富なデータベースやコミュニティー機能が人気となっている。掲載情報は20万件超、月間利用者数は1000万人、さらに月間PV数は1億3000万を超える。世界のアニメファンの間で欠かせない存在である。
米国生まれのサービスだが、2015年1月にそれまでの株主であった米国Evolve MediaグループのCraveOnline MediaがDeNAグループに事業譲渡。それ以来、DeNAが会社を保有している。今回はそれがメディアドゥに移動する。
国内のコンテンツ関連企業は海外ファンに情報を届ける手段が少なく苦労することが多い。そのなかでMyAnimeListの持つ英語圏への情報波及効果は価値が高い。しかしこれまでDeNAはそうした利点を効果的に活用できずにいた。
一方メディアドゥは、デジタル書籍・コミックのアグリゲーション事業の大手。近年はこれを軸にデジタル出版に関わる広く多様な分野に進出を強めている。目指すのはデジタル出版の総合企業だ。
なかでも海外展開は重点分野となっているが、これまでは事業拡大の取り掛かりがなかった。多くの海外ファンと接点を持つMyAnimeListにその役割を期待することになりそうだ。
メディアドゥHDはMyAnimeList取得により、日本のコンテンツの世界発信戦略を展開するという。今後は海外に向けた電子書籍販売やマーケティングプラットフォームの機能も充実させ、さらに巨大なアニメ・マンガコミュニティを目指す。
現在日本のコンテンツ・情報発信のプラットフォームのほとんどが海外企業に依存している。MyAnimeListはそのなかで数少ない日本資本のプラットフォームとなっている。これをうまく活用できるのか、メディアドゥの手腕が問われる。