サンリオ6期連続の減収減益、20年3月期は新型コロナの影響も

ファイナンス決算

 ハローキティでお馴染みのキャラクター会社サンリオは、6月12日に2020年3月期の決算発表をした。連結売上高が552億6100万円と前年比で6.5%減となったほか、利益面での落ち込みが大きく厳しい決算となった。
 営業利益は21億600万円(56.0%減)、経常利益で32億7400万円(43.9%減)、当期純利益は1億9100万円(95.1%)である。欧州競争法による課徴金7億円、投資有価証券評価損7億円、さらに新型コロナウイルス感染症拡大に対応したテーマパークの臨時休園などの損失5億円を特別損失に計上している。
 減収減益は2015年3月期以来、6期連続となる。6年前に較べて売上高で約3割減、営業利益で約9割減と低迷から抜け出せていない。

 不調は国内外のライセンス事業の落ち込みが大きい。国内事業売上高は全体の81%で452億2200万円(4.4%減)。うちライセンス事業は売上高87億2400万円で9.4%減、営業利益58億7900万円の10.4%減だった。このなかでアニメ・デジタル事業は伸長している。
 物販事業では「マイメロディ」が好調。卸部門でドン・キホーテ、イオン、Amazon向けが前期を大きく上回った。2月中旬以降の新型コロナウイルス感染症の影響はあったが、売上高は前年並み187億3500万円、0.3%増にとどまった。テーマパークは国内の10代後半、20代前半の女性を中心に人気を博した。しかしサンリオピューロランドが新型コロナウイルスの感染拡⼤防⽌対策で2⽉22⽇より臨時休園したことが響いた。売上高は95億2400万円(2.6%減)である。

 海外売上高は185億9700万円(13.6%減)。いずれの地域もライセス販売の比率が高くなっている。ヨーロッパ、北米、南米、アジアの全ての地域で売上高が前年比で落ちている。特にドイツ韓国がそれぞれ24%減、台湾の18%減などと大きい。
 またドイツが赤字に転落し、英国、北米も引き続き赤字となった。中国市場の展開も当初の予定どおり進んでいない。

 決算発表のタイミングでサンリオは、代表取締役の異動を発表した。2020年7月1日付で現代表取締役会長の辻信太郎氏が代表取締役会長に異動、新たに専務取締役の辻朋邦氏が代表取締役に就任する。
 辻信太郎氏は現在92歳、サンリオの創業者で60年あまり社長を務めてきた。辻朋邦氏はその孫にあたり、2014 年にサンリオ入社、15年に企画営業本部担当執行役員、16年に取締役就任と6年余りでキャリアを積み重ねてきた。厳しい環境のなかでの社長就任になったが、サンリオの掲げる中期経営計画の「マーケティング機能の強化」、「戦略的なアニメ・ゲーム事業確立」「顧客接点としての物販事業の再構築」「中国市場への注力」の実現の手腕が問われることになる。

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