劇場アニメ『この世界の片隅に』の大ヒットが、本作を配給した東京テアトルの業績を押し上げている。東京テアトルは2017年2月8日、2017年3月期第3四半期の決算を発表した。
連結売上高が139億900万円(15.2%増)。一方で、営業利益は1億9800万円(49%減)、経常利益は2億7100万円(40.5%減)、当期純利益は1億6200万円となった。
全体では増収減益であったが、映画関連事業に限定すると増収増益で高い伸びを見せた。第3四半期までの売上高は32億2800万円と29.6%増、さらに営業利益は1億7300万円と117.5%増である。配給部門と劇場運営の映画興行部門の双方が増収となった。
業績を牽引したのは2016年11月に公開した片渕須直監督の劇場アニメ『この世界の片隅に』の大ヒットである。東京テアトルは本作の配給をしたほか、製作出資も一部行っている。
興行収入は公開スタート時のスクリーン数が二桁の作品としては驚異的な、20億円規模となっている。作品は1月以降も公開が続いており、第4四半期の業績にも貢献しそうだ。
東京テアトルの映画館数は全国9館、23スクリーン。配給作品が例年、数多くの映画賞に輝くように、優れた良質の作品を小規模に公開することを得意としている。『この世界の片隅に』ではこれに興行的な広がりが加わった。同作の興行収入は、東京テアトルの配給作品のなかで過去最高を記録している。
このほか映画興業では、『シング・ストリート未来へのうた』『オーバー・フェンス』が好調であった。
また配給では、キッズ向け作品も健闘している。16年7月公開の『それいけ!アンパンマンおもちゃの星のナンダとルンダ』は、シリーズの配給が東京テアトルに移って以降では、過去最高の興行収入である。『映画きかんしゃトーマス探せ!!謎の海賊船と失われた宝物』も好成績だったとしており、今後はシリーズ化を目指すとしている。
さらにテレビドラマ『ディアスポリス 異邦警察』、映画『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』の制作受託や、映画のテレビコマーシャル、大型のセールスプロモーションなども売り上げを押し上げた。