ABEMA依然赤字も売上げ・ユーザー拡大続く サイバーエージェント

ファイナンス決算

 7月22日に2020年9月期第3四半期(19年10月~20年6月)決算を発表したサイバーエージェントの業績が堅調だ。ゲーム事業、広告事業が安定して売上げ・利益を生み出す一方で、「ABEMA」を中心としたメディア事業も売上げを伸ばしている。
 第3四半期までの連結売上高は3577億800万円と前年同期比4.6%増となった。営業利益が285億1100万円(21.9%増)、経常利益は284億6300万円(22.8%増)、当期純利益は58億7900万円(230.9%増)と利益面で好調であった。

 サイバーエージェントが新しい中核事業として力を入れるメディア事業は、依然132億8800万円と大幅な営業損失が続いている。しかし売上は15%増の394億3700万円と順調だ。売上の伸びに合わせて映像配信プラットフォーム「ABEMA」への投資も拡大しており、目先の黒字化より成長を優先する。
 特に20年3月から6月の第3四半期単独では売上高で19.2%増と伸びが大きい。新型コロナ感染症拡大対策の外出自粛のなかで、ユーザーが増えているためだ。
 2020年6月末の段階で、視聴アプリのダウンロード数は累計5600万を超えた。2020年に入ってからは週間ユニークユーザー(WAU)が1000万人から1500万人のレンジまで伸びている。

 ABEMAと言えば無料配信サービスが注目されるが、有料会員も伸び始めている。こちらは2020年6月末段階で72.9万人に達して12月までには100万人を目指したいとしている。定額課金見放題で有力サービスの一角を窺う。
 ABEMAの強みになっているのが、国内資本系の映像配信プラットフォームのなかではとりわけオリジナル番組制作に力を入れていることである。またこの6月からはオンラインライブを都度課金で視聴する「PayPerView」を開始した。映像配信の収益の多角化を目指している。
 
 ゲーム事業の売上高は1168億1500万円(2.0%増)、営業利益が231億4200万円(21.6%増)。Cygames、Craft Egg、サムザップが中心となる。主力タイトルの「プリンセスコネクト」シリーズが、日本、そして中国でも好調であった。
 ゲーム事業ではアニメとの連動も積極的に進めている。4月からは自社IPをアニメシリーズとした『プリンセスコネクト!Re:Dive』、『シャドウバース』を配信・テレビ放送をスタートした。『プリンセスコネクト!Re:Dive』のヒットは、ゲームにも好影響を与えているとしている。

 インターネット広告事業は、売上高は2044億1900万円(5.8%増)、営業利益171億3000万円(16.4%増)だった。また投資育成事業には売上高は36億7500万円(41.8%減)、営業利益29億3100万円(39.6%減)と伸び悩んだ。

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