アニメ事業大手の東映アニメーションの業績が依然好調だ。2017年1月27日に発表された同社の第3四半期決算が、売上・利益とも二桁成長を維持している。
連結売上高は第3四半期までで303億3900万円と前年同期比16%増となったほか、営業利益は73億7700万円(21.9%増)、経常利益は77億3900万円(21.8%増)、当期純利益は55億5100万円(36.9%増)と高い伸びである。人気作品、キャラクターを活かした多角的な事業がうまく回っている。映像製作・販売事業、版権事業、商品販売事業、その他事業のいずれもが増収増益となった。
なかでも主要作品となるのが、『ONE PIECE』と『ドラゴンボール Z』である。『ONE PIECE』は、2017年7月に全国公開した『ONE PIECE FILM GOLD』が、劇場アニメ部門の売上げを大幅に引き上げた。これに関連したタイアップや関連商品の販売も好調だった。さらに海外向けにはアジアでの『ONE PIECE FILM GOLD』の劇場上映権の販売、アプリゲーム『ワンピーストレジャークルーズ』も好調としている。
『ドラゴンボール Z』は、国内外の版権部門でアプリゲーム『ドラゴンボールZドッカンバトル』が貢献した。「ドラゴンボール」シリーズのテレビ放映権は世界の広い地域で、中南米向けでは『ドラゴンボールZ 復活の「F」』劇場上映権を販売し、ここでも海外ビジネスが広がっている。
映像製作・販売事業は、売上高は120億1000万円(11.9%増)、営業利益30億2200万円(19.3%増)。劇場アニメ部門が増収、テレビアニメ部門は放送本数が6作品と前年同期より減少したがゲーム向け音声製作の稼働で増収だった。海外映像部門は、引き続き中国向けの映像配信権と海外向け映画・「ドラゴンボール」シリーズのテレビ放映権の販売で大幅増収である。
版権事業は、売上高127億7800万円(18.0%増)、営業利益59億1900万円(22.7%増)である。『ドラゴンボールZドッカンバトル』や『ワンピーストレジャークルーズ』のほか、中国での「聖闘士星矢」のアプリゲームも貢献した。
商品販売事業は売上高46億6900万円(25.8%増)、営業利益は1億8800万円。海外のイベント物販も好調としている。
また決算発表資料にて、映像配信サービスの好調に言及されているのが注目される。定額映像配信市場の拡大もあり大幅な増収としている。
これまで国内配信事業は、アニメ業界では話題になるほど売り上げになっていないとされてきた。しかし市場の拡大と伴にいよいよ業績にも影響を与えるようになってきたようだ。逆に言えば、ゲームアプリや配信といった新分野の展開に力をいれることが東映アニメの強みと言える。
東映アニメは通期で連結売上高354億円、営業利益で77億円を予想している。第3四半期までで売上高の進捗率は85%超え、営業利益の進捗率は95%を超える。同社は2017年10月24日に業績見通しの大幅な引き上げを行っているが、今回は新たな業績予想の変更はしていない。
しかし、通期業績は、現在の見通しを大きく超えてくる可能性が高い。売上高は過去最高であった2013年3月期の336億4400万円超え、利益でも過去最高であった前期超えを目指す動きとなるだろう。