意外に進まない配信オリジナル作品 Amazonプライム ビデオが「クレヨンしんちゃん外伝」で先行

Amazonプライム・ビデオ

2015年秋に日本に進出したNetflixは、まさに鳴り物入りだった。世界最大の映像配信サービスであることに加えて、日本でもオリジナルコンテンツの獲得を目指し、これにかなりの投資をすると表明したからだ。
サービス開始から間もなく1年を迎えるが、Netflixの動きは当初思われていたほど活発ではないようだ。スタート当初に目玉コンテツとして発表された又吉直樹の芥川賞受賞小説をドラマ化した『火花』は大きな話題を呼んだ。しかし、同時期に配信を発表した『テラスハウス』新シリーズ、オリジナルドラマ『ランジェリー』の後は作品が続いていない。

アニメ作品も同様だ。現状でオリジナルとして配信されたのはポリゴン・ピクチュアズの制作した『亜人』だ。しかし、本作は配信と並行して劇場上映やテレビでの放送もされている。多くの視聴者がイメージするオリジナルコンテンツとは、やや異なる。
ポリゴン・ピクチュアズ制作の作品からは今後公開される『BLAME! (ブラム)』も独占タイトルとしているが、リリース時点で劇場作品であることが強調されており、配信以外のウィンドウ展開がありそうだ。米国のAnime Expo 2016でNetflix独占と発表された『リトルウィッチアカデミア』の新作もテレビシリーズとしており、同様のことが言える。

オリジナルアニメの不在は、日本のアニメ制作側の迷いもありそうだ。Netflixによる条件は魅力的だが、作品を展開するウィンドウを配信だけ、さらに一社だけに絞っていいのかとの問題だ。日本のアニメは映像作品だけでなく、音楽やキャラクター、イベントなど二次展開で拡大していくことが多い。ウィンドウを絞ることで、作品の認知度が広まらないとの懸念からNetflixだけにし難いというわけである。
さらに日本のアニメは、企画スタートから公開まで2年から3年かかるとされている。原作があれば企画に入るまでにさらに時間がかかる。Netflixが2015年に交渉に入ったとして、実際に姿をみせるのは2017年、2018年となるだろう。
そこで今後は2016年2月に発表されたプロダクションI.Gが制作する新アニメシリーズ『パーフェクト・ボーンズ』が鍵になりそうだ。本作はNetflix独占公開としており、文字どおりNetflixだけでしか観られない可能性が強い。ただし、こちらのリリース時期は現在発表されていない。やはりある程度の時間が必要というわけだ。

一方、オリジナルコンテンツで先行するのは、ライバルのAmazonプライム ビデオである。8月3日より、『クレヨンしんちゃん外伝 エイリアン vs. しんのすけ』の独占配信を開始した。人気アニメシリーズだが、Amazonプライム ビデオでしか観られない文字どおりの独占である。1話7分半で全13話とボリュームもある。
また監督に異才・三原三千夫を起用するのも注目だ。三原はこれまで本作のテレビシリーズ、劇場シリーズで監督での参加はない。そして脚本は2015年に劇場シリーズで歴代興収過去最高を記録した『オラの引越し物語 サボテン大襲撃』のうえのきみこと、まさにここだけの作品が期待できる。
Amazonは、このほか話題のアニメ『昭和元禄落語心中』や『甲鉄城のカバネリ』の配信をテレビ放送前に実現している。第1話、それも1日だけではあるが、アニメ関係者にとっては驚きだろう。Amazonがアニメに力を入れていることが分かる。
ドラマでも、話題を呼び、第2シーズンも決定した『仮面ライダーアマゾンズ』、人気マンガの実写化『ベイビーステップ』『はぴまり~Happy Marriage!?~』、さらに『宇宙の仕事』『MAGI 天正少年使節と世界帝国』が並ぶ。オリジナルコンテンツでは一歩抜け出した印象を与える。

もうひとつ注目されるのが、エイベックスグループのdtvだ。こちらも4月からdtvだけの作品『暗殺教室 第2期 課外授業編』を配信している。1話5分全8話となるが、ここだけでしか観られない番組だ。
dtvはこのほか、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙』『テラフォーマーズ 新たなる希望』『アイアムアヒーロー はじまりの日』など、劇場映画と連動したオリジナルドラマが充実している。NetflixやAmazonとの路線は異なるが、認知度の高いオリジナルコンテンツの確保では効果的な戦略だ。

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